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純正から30kg軽量化し錆とも無縁に。世界初となるS30型「フェアレディZ」専用アルミ外装パーツの凄み

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TEXT: 石川大輔(ISHIKAWA Daisuke)  PHOTO: 賀川 真弥(KAGAWA Shinya)

純正の重量バランスを崩さず30kgもの軽量化を実現する、世界初のS30用アルミ外装パーツ

錆に悩まされ続けた旧車オーナーに救世主が現れた。旧車専門店のスターロードが、自動車メーカーの試作車を手掛ける矢作産業と組み、世界初となる日産S30型「フェアレディZ」用のアルミ外装パーツを開発した。軽くて強く、そして錆びにくい。三拍子そろった夢のアイテムが、いよいよ現実になろうとしている。

スターロードが世界初に挑んだS30フェアレディZ用アルミ外装パーツとは

旧車にとって、錆は永遠の大敵だ。腐食はじわじわと進行し、とくにフロントフェンダーの下まわりは症状が出やすい。ここが鋼板である限り、オーナーはレストア費用と再発の不安を抱え続ける。この宿命に、東京の旧車専門店スターロードが真正面から挑んだ。

スターロードが選んだ素材はアルミだ。現代のスポーツカーでは、ホンダ「NSX」のオールアルミモノコックをはじめ、日産「GT-R」やトヨタ「GRスープラ」など、アルミボディの採用例は数多い。鋼鉄に比べて軽いアルミは、運動性能の向上に直結する。しかも軽いだけでなく腐食にも強い。旧車の外板パーツにこそふさわしい素材だ。

それでもアルミ製のリプロダクトパーツは、これまで市場にほとんど存在しなかった。技術的なハードルとコストの問題から、アフター業界に流通する補修パーツはFRP材やスチール製が中心だった。金型を起こしてアルミを成形する作業は、自動車メーカーでなければ難しい。そう思われていた領域に、スターロードは世界初の挑戦として乗り出した。

矢作産業とのタッグで実現したアルミボディ開発の中身

この前代未聞のプロジェクトを支えるのが、愛知県豊田市の矢作産業だ。同社は自動車メーカーの試作車を製造するだけでなく、金型や治具の設計製作まで手掛ける専門集団である。報道によると、矢作産業は半世紀にわたってトヨタ車のほぼすべての車種の試作に関わってきたという。その技術力を得て、S30用のアルミ外装パーツ開発がスタートした。

スターロードの代表を務める井上さんは、もともとエアロパーツ以外のボディパーツはスチールにこだわってきた人物だ。それでも軽量化の必要性を感じ、矢作産業に相談したことでプロジェクトが動き出した。当初はアルミを使う想定ではなかったものの、話を進めるうちにアルミでボディパネルを作る方針が固まったと伝えられている。

開発の第1弾として製作されたのは、ボンネットとフロントフェンダー、ドア、そしてカウルトップだ。エンジンが載るフロントまわりをアルミに置き換えることで、前後の重量バランス改善が期待できる。パネルの外板形状は純正を忠実に踏襲した。フェンダーの膨らみやボンネットのプレスラインまで再現している。ただし裏側の骨組みは事情が異なる。アルミは軽い反面、純正と同じ補強形状では強度が出せない。そこで見えない裏面の構造は完全に新設計され、板厚も最適化された。素材にはAl5000系のアルミニウムが採用されている。

SPR結合でボンネットは純正比50%以上の軽量化を達成

異なる金属同士を結合するために採用されたのが、SPR(セルフピアシングリベット。事前の穴開けが不要な現代版リベット)だ。2枚以上のパネルを一体化できるうえに、強度も高められる。ボンネットは純正の約55%の軽さに抑えつつ、凹凸状の裏面を組み込んでSPR結合することで、剛性と強度を純正以上に高めた。純正キャッチも取り付けられる設計だ。

SPRの採用と裏側の形状変更によって、軽量化の数値は明確に表れた。ボンネットは純正比で重さ50%以上、ドアは20%以上、フロントフェンダーは50%以上の軽量化を実現し、1台分で30kgもの削減に成功している。ドアの内側はウインドウレギュレーターを装着できる形状とし、アルミ材はSPR結合で強度を高めた。さらに乗員保護のバーを組み込むなど、安全性にも配慮している。カウルトップや給油口のフタもアルミで製作され、精度を高めるべく試作と評価を繰り返してきた。

このパーツは前期型と中期型に対応する。後期型はドア下の形状などが異なるという。腐食が進みやすいフロントフェンダー下がアルミ製になれば、レストア費用を抑えられるうえに再発の不安も消える。軽くて強く、錆びにくいという三拍子がそろった外装パーツは、旧車乗りにとって夢のようなアイテムだ。スターロードと矢作産業は、この開発を突破口に、外装パネルを純正スチールからほぼすべてアルミへ置き換える全身アルミ化の完成まで到達している。

永遠の憧れであり続けるS30フェアレディZを、次の世代へ美しいまま残したい。スターロードと矢作産業が示したのは、旧車を単なる過去の遺物として扱わず、現代の技術で未来へつなぐという姿勢である。錆との戦いに終止符を打つこの挑戦は、同じ悩みを抱えるすべての旧車オーナーに希望を届けるはずだ。

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