パーツ不足の旧車に新たな延命策! スタリオンにフェアレディZのVQ37VHRを丸ごと搭載
直列4気筒の心臓を、あえて日産のV6へ。愛知県のダディモーターワークスが手がけた三菱「スタリオン」は、フェアレディZ(Z34)のエンジンをトランスミッションごと移植した1台だ。旧車の延命とアップデートを両立させる、大胆かつ実用的なアプローチに迫る。
ノスタルジック2DAYSに現れた三菱スタリオン 2600GSR-VRのワイドボディとは
会場でひときわ目を引いたのは、直線基調のシルエットをまとった三菱「スタリオン」だ。旧車のエンジンスワップを得意とする愛知県のダディモーターワークスが、ノスタルジック2DAYSのブースに展示していた。同社はこのイベントの常連で、2026年の主役がこのスタリオンだった。
スタリオンは映画「キャノンボール2」で、ジャッキー・チェンとリチャード・キールのチームが乗るハイテクマシンとして知られた1台だ。展示車は後期に設定されたワイドボディ仕様の2600GSR-VRである。国産乗用車で初めて50扁平タイヤを採用し、幅広タイヤを覆うブリスターフェンダーが与えられた希少なモデルだ。早速、代表の尾頭さんに話を聞いた。
「このスタリオンにはZ34に搭載されているVQ37VHRがトランスミッションごとスワップされています。だから7速パドルシフトもついてて、かなり軽快に走りますよ。内装もZから移植されていて全体的にアップデートされています」

スタリオンのエンジンルームに日産フェアレディZのV6 VQ37VHRが収まる理由
ボンネットを開けると、本来直列4気筒が鎮座するはずのスタリオンのエンジンルームに、日産のV6エンジンが見事に収まっている。搭載されるのは、フェアレディZ(Z34)に積まれる自然吸気のV型6気筒3.7リッター、VQ37VHRだ。エンジン上部のカバーがボンネットにわずかに干渉するため、ボンネット中央はやや膨らんでいるという。その処理はあまりに自然で、裏側を見なければ気づかないほどの仕上がりだ。

この車両は、古くなったスタリオンのハーネス(電気配線の束)を使わず、Z34のハーネスをすべて移植することでリフレッシュを果たしている。そのためメーターパネルはZ34用を移植しているだけでなく、ステアリングやシフトレバー、各種スイッチ類、パドルシフトもすべてZ34用となっている。センターコンソールやメーター周りは、既存のダッシュボードと違和感なくつながっている。こうした部分にも、カスタムビルドを得意とするダディモーターワークスの技術が垣間見える。
Z34より約200kg軽い車体でVQ37VHRの336psを味わうスタリオンの走り
ブレーキも日産キャリパーを流用し、ホイールはZ34用の純正18インチアルミを装着している。スワップドナーとなったZ34から多くのパーツを移植してアップデートを果たしたスタリオンは、最高出力336psと動力性能が大幅に向上した。それだけでなく、ハーネスを含めた基本的な部分が約30年も新しくなっている点が見逃せない。これによってパーツの入手が容易になり、これからも長く愛車と付き合えるというわけだ。
「ちなみにスタリオンって、Z34よりも200kgくらい車重が軽いんですよね。だから実際のZ34よりもよく走ります。この年代の車両にスワップするエンジンとしては必要にして十分なパワーだと思います」
旧車のエンジンスワップは、単なるパワーアップの手段にとどまらない。純正部品が枯渇していくなか、オリジナルエンジンに代わる延命策としての意味も帯びる。ダディモーターワークスが手がけたスタリオンは、往年の名車の姿をそのままに、心臓と神経を現代のものへ入れ替えることで、これからの時代も走り続ける道を選んだ。名車を博物館の展示物にせず、道の上で生かし続ける。その1台には、旧車と真摯に向き合うビルダーの哲学が宿っている。





































