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『SPY×FAMILY』に出てくる「トラバント」のルーフテントが斬新すぎる! 旧東ドイツ的「キャンパー」をモデルカーで振り返ろう

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

ベルリンの壁が崩壊すると「トラビ」たちも西に向かった

ベルリンの壁が撤去され東西ドイツの行き来が自由になると、旧東ドイツ市民はトラバントや「ヴァルトブルグ」といったクルマに乗って、西に向かった。当時最新のフォルクスワーゲン「ゴルフII」やメルセデス・ベンツのW12「Eクラス」、964時代のポルシェ「911」などに混ざって、2ストローク・エンジンならではの煙を吐きながらアウトバーンを必死に走る(でも遅い)トラバントの姿は、まさに東西冷戦の終焉と東西ドイツ統一を象徴するシーンのひとつとして、世界にも広く紹介された。

ドイツでは最新の安全・環境基準を満たさない旧車でも、その歴史的価値ありと認められた車種に対してはヒストリックカー専用のナンバー・プレート「Hナンバー」を発行している。現在かの地でVWビートルについで多くの台数がヒストリックカー・ナンバーをつけているのが、このトラバントだと言われる。

トラバントのミニカーは歴史上のアイコンでもある

クルマそのものの完成度や実用性の優劣ではなく、いまや「20世紀の歴史の一部」として認識されているトラバント。じつはモデルカーの世界でも、格好の模型の素材となっている。

ベルリンの壁崩壊以来、大小さまざまなスケールのミニカーやプラモデルがリリースされているが、こちらでご紹介しているミニカーはそれらのごく一部。パッケージにベルリンのブランデンブルク門をあしらったものなど、やはりトラバントを「歴史上のアイコン」として捉えた製品も多く、そこがほかの一般的なクルマのミニカーとは一味異なるところだ。

例えばルーフにテントを載せたモデルはリアにDDR(東ドイツ)の国籍プレートをつけており、リア左側のウインドウにはこのクルマが訪れたと思しき欧州各国の国籍ステッカーが貼られている。このルーフテントはゲルハルト・ミュラーなる人物が考案して1979年から販売され、東ドイツでベストセラーとなったようで、現在も好事家のためにレプリカがつくられている逸品。いかにも東西の往来が自由になった当時の開放的な雰囲気までもが感じられる演出だ。

やはり世界に必要なのは分断と対立ではなく話し合いと相互理解なのだと、小さなミニカーに教えられる今日この頃なのである。

■問い合わせ:国際貿易 https://www.kokusaiboeki.co.jp

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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