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「スカイラインR33 GT-R」をモーテックで制御! セッティングの不安要素を徹底的になくす「ジーイング」のこだわりとは

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TEXT: 増田高志  PHOTO: GT-R Magazine

満を持して自身のショップをオープンさせる

そこでは約10年間みっちり修行して35歳のときに独立し、ジーイングを起ち上げる。前田代表、つまり「仁」が現在進行形という意味だ。

当初はシルビアが多かった。そのほとんどがドリフト仕様の依頼だ。39歳のときに現在の場所に移転し、そのタイミングで自分の好みを押し出して第2世代のGT-R専門店として再出発を果たす。

仕様はユーザーの使い方を鑑みて決めていく。基本的に扱いやすくて小気味いいクルマにまとめ、馬力的には500〜600psが多い。得意のコンピュータ制御のノウハウを活用して、それぞれのパーツのよさが際立つセッティングを意識している。エアフロで対応できる馬力は純正コンピュータの書き換えで、対応できない場合はフルコンを使ったDジェトロで制御してきた。

JingのR33

「セッティングの肝は頭の中で完成形をイメージできるかどうかに尽きます。闇雲に空燃比を追っても心に響く味付けにはなりません。数字合わせでは駄目。使っているパーツからどんな特性になるかを予測して、それに近付けることが王道です」

高回転で唸るエンジンの原因追求が好転に繋がった

 自分の思った通りのセッティングに人一倍拘る前田代表。思い描いた通りにいかない場合は、徹底に原因を追求するという。

「そこそこ馬力を出したクルマでの唸り音が気になり出したんです。狙い通りの馬力は出るし、不具合が出ることもないのですが苦しげに唸る。必ずどこかに原因があるはずだと調べていきました」

 使っているパーツなのか、組み付け方なのか、あるいはセッティングの方法なのか。徹底的に追求した。しかしどこにも原因は見当たらない。

 そこでそれまで使っていたフルコンからロギング機能が充実しているモーテックに変更。すると思いも寄らない事実が判明した。なんと高回転でクランク角センサーのエラーを表示。詳しく調べていくとちょうどエンジンが唸る回転域でクランク角センサーからの信号が暴れるのだ。

「クランク角の位置をずれて認識すると、点火や燃料噴射のタイミングのすべてが狂ってしまいます。この状態ではいくらシビアにセッティングしても反映されません」

RB26のクランク角センサーはカムシャフトの先端に接続されている。そのため高回転ではタイミングベルトの振れが大きく影響する。純正のセンサーは、アイドリングや排ガスの制御を細かく行うために360のスリットを設けたプレートで、繊細にクランク角の位置を把握しようとしている。中速域ぐらいまでは細かく確認できるが、高回転になると正確な位置が得られなくなる。

「対応策として海外で販売されていた24スリットのプレートに付け換えてみたんです。すると振れは減少。さらに正確な数値を得るため、クランクプーリーからクランクの位置を得ることも試みました。唸りは治まり、高回転まで淀みなく回るように激変。タコメーターを気にしていないと回し過ぎてしまうほどです」

モーテックとの出会いがチューニングを進化させた

前田代表が初めてモーテックを使ったのがこのR33。BBSのRI-Aが印象的だ。主な仕様はHKS鍛造87φピストン、東名パワードH断面コンロッド、JUNフルカウンタークランク。そして圧縮比を9まで高めたヘッドには、IN/EX共に272度のレイニックのカムを導入した。ターボはオリジナルのGT-Jeで、風量的にはHKS GT2530相当だ。エキマニは東名、フロントパイプはレイマックス、マフラーはHKS。インタークーラーはHKSの2層タイプをチョイスし、インジェクターは850ccでモーテックM600を使い、オリジナルクランクピックアップで制御する。

製作は約8年前。フルブーストの1.5kg/cm2には4500rpmで達して9000rpmまで一気だ。馬力は約700ps。1500rpmも回っていればすぐに加速態勢に移行できる柔軟性も併せ持つ。

「このR33以降のフルコン制御はすべてモーテックにしました。120台以上取り付けていますが、アイドルコントロールバルブが壊れたことによる不調以外にトラブルはありません」

モーテックを使ったことでクランク角センサーからの信号の暴れに気付けたし、対応もできた。クランク信号はエンジン回転数とピストンの位置を確認する重要な手段。正確な信号の確保は制御の基本だ。ここがずれてしまうと、どんなに優れたマップを作ったとしても生かすことはできない。

曖昧さがなくセットアップの妙技を余すことなく反映できるモーテックの魅力を痛感させてくれたのがR33だ。このクルマの以前と以降とでは前田代表のセッティングは違う。調律の真髄が見えてきたからだ。

(この記事は2021年10月1日発売のGT-R Magazine 161号に掲載した記事を元に再編集しています)

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