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どうやって1人でダイハツ「ミゼット」とスバル「360」で会場に乗り付けた!? オーナーの360cc軽自動車への愛が炸裂!

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

小さなボディに真面目な技術が凝縮された360cc時代の軽

枯山水に茶室、盆栽に至るまで、日本人は小さく凝縮された世界観が大好きで、「大きな数・強大なパワーこそ正義」とするアメリカ的な価値観とは対照的だ。例えば軽自動車。たしかに第二次世界大戦直後など、多くの人々が耐乏生活を強いられた時代には欧米でも数多くの軽便なライトカーが生み出されたが、それはあくまで過渡期のあだ花。対して日本では、独自の技術とともに進化を続けた軽自動車が、今なおひとつの主要ジャンルとして人々の暮らしを支えているのだ。

新潟・三条の「20世紀ミーティング」に「街のヘリコプター」が来場

新潟のクルマ好きが中心となって発展してきた、手作りヒストリックカー・イベント「20世紀ミーティング」。地産地消&町おこし的な意味合いも含んだこのイベントがさる2023年4月16日(日)、三条市の信濃川沿いのミズベリング三条(水防学習館)の広い駐車場を使って開催された。これはその名の通り「原則として2000年までに生まれたクルマならば二輪四輪問わずエントリー可能」というおおらかなミーティングだ。

1955年のポルシェ「356プリA」から2005年式の三菱「エクリプス・スパイダー」まで、バラエティに富んだ参加車はヒストリックカー&バイクを合わせて約150台。それら数多くの参加者の中、会場内で唯一のオート三輪として注目を集めていたのが、地元在住の小林さんがエントリーしたダイハツ「ミゼット」だ。

戦後日本の復興に多大な貢献を果たしたオート三輪トラックの中でも「街のヘリコプター」の愛称で親しまれたダイハツ ミゼットは、ライバルのマツダ「K360」とともにまさに当時の日本の風景には欠かすことのできない存在であった。

長期間にわたる作業の末、晴れてミゼットが路上復帰

「とにかく小さいクルマが好きで、このミゼットは数年前にネットオークションで手に入れました。ただ、実際に手に入れてみたら、“とりあえずエンジンはかかるけれど……”という厳しいコンディションで、プロに手伝ってもらいボディから足まわりまでひと通り手を入れたので、実際に路上復帰するまでには長い時間がかかりました」

と語ってくれた小林さんのミゼットは、生産終了間近の1971年式。今回、晴れて自走でイベントにやってきた実車を見せていただくと、なんと左のドアにはミゼットのイメージ・キャラクターとして一世を風靡した俳優/コメディアン、大村 崑さんの直筆サインが。これは前オーナーが、当時イベントに来ていた本人に頼んで描いてもらった貴重なものとのこと。

「お陰でドアパネルのリペイントはできません(笑)」

「てんとう虫」も同時エントリー! どうやって1人で2台を運んだ?

すべてが手の中に収まるような感覚の軽自動車。なかでも初期の360cc時代のモデルは、いずれも遊園地の乗り物を連想させる小ささと愛らしいデザインが魅力だ。しかもそれらには、当時の日本の自動車技術者たちが一切の妥協なしにつぎ込んだ真面目な技術が凝縮されているのだ。

じつは同じイベント会場に展示されていた黄色い「スバル360」もまた小林さんの愛車。筆者が「スバルは別の方が乗ってこられたのですか?」と問うと、小林さんは答えていわく、

「いや、自宅が近所なのでミゼットを展示スペースに並べたあと、歩いて帰って、スバルに乗り換えてまた会場までやってきました」

ストライクゾーンは360cc時代の軽自動車だと語るオーナーの「360cc愛」はまさにホンモノなのである。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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