出品車の走行距離は約285キロ
スピードテールの販売は、当然のことながらマクラーレンによって事前に選ばれた優良なカスタマーに対してのみ行われた。今回の出品車は106台が生産されたスピードテールの中では72番目にあたるもので、2020年6月にサンフランシスコのマクラーレンを通じてデリバリーされた。
参考までにスピードテールは、アメリカ合衆国においての公道走行は許可されておらず、NHTSA(アメリカ合衆国運輸省)により「ショーまたは展示」のために、年間2500マイル(約4000km)までと制限されている。
したがって出品車の走行距離もわずか177マイル(約285km)と新車からわずかな数字を刻むのみ。出品者と落札者は今後名義変更前にNHTSAの承認を得ることが必要であり、NHTSAによる検査は今後新車での生産から25年が経過するまで続けられるという。
そのような事情はあっても、やはり723psの最高出力を誇る、4LツインターボV型8気筒エンジンにハイブリッド・パワートレインを組み合わせ、403km/hの最高速と13秒という0-300km/h加速を可能とするスピードテールの魅力は大きい。
エレクトリック・モーターとバッテリーはいずれもマクラーレンのフォーミュラーEテクノロジー・グループの開発によるもので、モーターの312psを追加してスピードテールは最大1035psの最高出力を発揮する。
RMサザビーズが見込んだ予想落札価格、220万〜260万ドル(邦貨換算約3億1900万円〜3億7700万円)に対してのハンマープライスは231万5000ドル(邦貨換算約3億3570万円)。新車価格が232万6000ドル(邦貨換算約3億3730万円)、加えてMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)への特注オプション代金が10万7363ドル(邦貨換算約1560万円)も投じられたというスピードテールの72号車。それを考えると、この落札価格も順当なレベルで落ち着いたといったところが、まずは第一印象ではないだろうか。