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プジョー「205」がおよそ5000万円! グループB時代の怪物「ターボ16」は走行8700キロ未満の極上車でした

プジョー「205」がおよそ5000万円! グループB時代の怪物「ターボ16」は走行8700キロ未満の極上車でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

希少なブラックの個体は、約4840万円で落札!

WRCでライバルとなっていたほかのメーカーと同様、グループBの技術的自由度と比較的ゆるめなホモロゲーション要件を利用して、プジョーはFIAが規定した200台の公道仕様205ターボ16を生産した。

今回「The World Rally Classics Collection」の1台としてオークションにかけられたのは、177番目に製造された公道仕様車といわれている。このモデルとしては少数派に属するブラックで仕上げられ、ロンドンに在住していたカタールの王族メンバー、シェイク・アブドゥッラー・ビン・ハリーファ・アル・ターニーに新車として納車された。

シェイク・アル・ターニーのもとで首都ロンドンの路上で定期的に使用されていたこの個体は、彼の所有期間中にはロンドン西郊チズウィックのプジョー代理店「ワーウィック・ライト」社によって整備されていたという。

シェイクは2007年7月までこの205ターボ16を所有し、その時点での走行距離はわずか8062km。2013年1月に英国グロスターシャー州ストラウドのトム・カービー氏に売却した時点で、走行距離は28kmしか増えていなかった。

ただしカービー氏は、所有中に英国内のコンクール・イベントのために入念なメンテナンスを施し、ブレナム宮殿で開催された権威あるコンクール・デレガンス「サロン・プリヴェ」にて賞賛を受けることになった。

2022年1月、ノーザンプトンシャー州ブラックリーの有名なラリーカー・スペシャリスト「BGM Sport」社によって、約1万4000ドルを投じたフル・メンテナンスが行われた。これには、タイミングベルトやフィルター、フルード類の交換に加え、新品クラッチとブレーキマスターシリンダーの取り付け、4つのホイールの改修、プロフェッショナルなディテールアップが含まれていた。

この整備によって充分にリフレッシュされたこの205ターボ16は、2022年ラリーカーの専門業者に引き取られたばかり。公式オークションカタログ掲載時の走行距離は、依然としてわずか8696kmに過ぎない。

プジョー205ターボ16

しかも、非の打ちどころのない来歴と、それに見合った完全なヒストリーファイルを持つこの個体は、おそらく公道走行可能なグループB車両の中でももっとも完成度が高いとともに、見事なまでに純正のオリジナリティを保った1台であり続けている。

だから、今なお「狂瀾のグループB」として語られる怪物マシンたちがしのぎを削った伝説の時代の素晴らしき語り部といえるだろう。

この伝説的な1台に、RMサザビーズ北米本社は、35万ドル〜45万ドルというエスティメート(推定落札価格)を設定した。ところが、実際の競売が始まってみるとなかなかビッド(入札)が進まなかったのか、32万9500ドル、つまり邦貨換算約4840万円で落札されることになった。

この落札価格は、じつは量産仕様のプジョー205ターボ16の販売実績から見ると比較的高めのものではあるのだが、たとえばランチア「037ラリー」や「デルタS4」の量産バージョンのマーケット相場に比べると、かなりリーズナブルともいえる。

それゆえ今回の落札価格であっても、あくまで私見ながら良い買い物だった……? と感じられてしまうのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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