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ドイツ車のボディが堅いのはアウトバーンのおかげ!? 日独伊によるクルマの設計思想の違いを説明します

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TEXT: 塩見 誠(SHIOMI Makoto)  PHOTO: Stellantis/Volkswagen/BMW/写真AC

日本車のボディ剛性は強くなっている

では日本車の話。まず日本車はいまでこそ120km/h制限区間が増えてきたが、長い間高速道路は100km/hが制限速度であったし、30〜40年前までは未舗装路も多かったため、巡航速度が低かった。さらに昔は排気量によって自動車税が大きく違っていたため小排気量車が多く、そのぶんエンジン出力が小さいためにクルマはなるべく軽くしたい。そこで早くから高張力鋼板を使いつつ、販売価格を抑えるために工数を減らす、ということから、スポット溶接個所も必要最小限にするなどの工夫を進めていた。

しかし最近の日本車のボディ剛性は確実に強くなっている。これにもいろいろな理由があるが、ひとつ言えるのはプラットフォームの共用化だろう。開発費用を抑えるというのがプラットフォームの共用化の大きなメリットだが、いろいろなクルマで使い回しをするためには、それなりに許容範囲を大きくする必要があり、それがいい方向に作用しているのではないだろうか。さらに、この先の自動運転車との違いをあきらかにするための運転する愉しさを考えたときに、ボディの強さとサスペンションのバランスが大事であることに着目して開発をおこなっているということも言えるだろう。

一方でドイツ車は、徐々に日本車のようなつくり方になりつつある。もともとボディの強さとサスペンションのバランスについては高いレベルにあったが、製造コストの削減という部分では日本車を参考にしているところも多くなってきた。一例を挙げれば、ドアキャッチのつくり。ドイツ車といえば鋳造のがっちりしたものだったのが、最近では日本車のようなパイプ製となっている。ほかにも、先々代モデルのサスペンションロアアームはアルミ鋳造だったものが、先代モデルは形状は同じだがスチール板をプレス成型し溶接で組み立てたものとなり、現行モデルではさらにつくりが簡素になっているクルマもある。

大きな変革期をどのように乗り越えるか

現在自動車メーカーは、大きな変革期をどうやって乗り越えて発展していくのかを考えている。そのひとつの方策はグローバル化で、どういう環境でも一定以上の走行性能を保ち、販売価格を抑えるために工数を削減することが、その鍵を握っている。それを考えたクルマづくりを進めていくと、徐々に似たようなコンセプトとなっていくのだろう。

いまはもう、ドイツ車だろうがイタリア車だろうが日本車だろうが、試乗したとき明らかにボディが弱いな、と感じるクルマはないといっていい。ただ、ボディの強さが高まっても、それとブッシュの硬さやメンバーの締結強度も含めたサスペンションのバランスが悪ければ、乗る側としては不満が残る。その点でいえば、まだ輸入車に一日の長があるように考えられる。もちろん日本車でもいいクルマは確実に増えている。

昔は結構ボディ剛性には差があったが、いまは輸入車だろうが国産車だろうがそんなに大きな違いはなくなった。ただ、そのボディ剛性の活かし方には違いがあるので、機会があればこういう部分にも注目をしながら乗り比べてみると面白いと思う。というか、こんなところに気がつく人は本当に少ないだろう。しかし自動車メーカーの開発者はコダワリを持っていいものをつくる努力を続けている。ちょっとでもそこに着目してもらえれば、おそらく開発者も喜ぶと思うんだけどなぁ。

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  • 塩見 誠(SHIOMI Makoto)
  • 塩見 誠(SHIOMI Makoto)
  • 1965年生まれ。学生時代からオートバイとクルマに熱中し、自動車雑誌編集ののちフリーランスライターに。これまでAE86トレノ、CC72Vアルトワークス、E38AギャランVR-4RS、1980年式シロッコ、CD9Aランサー・エボリューション、プジョー306スタイルなど、クルマを乗り継ぐ。オートバイはCB250RS、RZ250、ZZ-R1100、T-MAXなどつねに複数台所有。現在の愛車はフタ桁ナンバーのアルファ ロメオ156V6とサーキット遊び用のNCP91ヴィッツRS・TRDターボM、JA45クロスカブ。
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