ナンバーマッチングも確認済み
この個体は2022年初頭までシンガポールで保管されていたが、その後英国に輸送され、2022年3月には油圧ラバーの全交換やエアコンコンプレッサーの交換、シリンダーヘッドのオーバーホールとガスケット交換、サスペンションのリフレッシュなどというメンテナンスを、7万6057ポンド(約1410万円)かけておこなっている。
さらに2023年1月にはトランスミッションのリビルトやステアリングシステムのオーバーホール、燃料タンクや電動フードの修理に2万3343ポンド(約430万円)をかけ、6月には1万8825ポンド(約350万円)をかけてボンネットを修理している。
そこまでの費用をかけて状態を維持し続けているのは、この個体が新車当時から同じエンジンを搭載し続けている、オリジナルモデルであるからだ。クラシックカーの世界ではマッチングナンバー、あるいはナンバーマッチングといわれるこれは、シャシーナンバーやエンジンナンバー、トランスミッションナンバーなどが、工場出荷時に記録されたものと一致していることを意味している。
走行距離はなんと741km。日本風にいえばワンオーナー車でもある。そんな貴重なモデルのエスティメートは37万5000ポンド〜47万5000ポンド(邦貨換算約7000万円〜8800万円)となっていた。製作にかかった費用と希少性からいえば、かえってロープライスともいえる値付けだ。そしてオークションでのハンマープライスは40万ポンド(邦貨換算約7420万円)であった。
当時のベントレーの魅力とピニンファリーナの職人技がなせるものがはっきりと感じ取れる1台である。