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約2億1700万円! フラットノーズのポルシェ「911」という超希少車とは? 走行距離63キロの奇跡の個体でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

30年間の走行距離はわずか63km! 納得の落札価格は?

「The White Collection」オークションに出品された1994年型ポルシェ911ターボS X85フラットノーズは、米国市場向けに製造された39台のうちの1台。当初ニューヨーク州タッカホの「クラシック・オートモービルズ」社を介して、カリフォルニア州ダンヴィルの有名な「ブラックホーク・コレクション」に新車として販売された。

新車当時のウィンドウステッカーに記載された「ターボSフラットノーズパッケージ」の希望小売価格は6万179ドルであり、さらに「ポルシェ・エクスクルーシヴ」による豊富なオプションが追加されている。

まずインテリアでは、ライトルートウッドのダッシュボード(コードX17)、パーキングブレーキレバー(X31)、シフトノブ(XC8)が採用されたほか、「カシミア・ベージュ」のシートヒーターつきサップル・レザーシート。本革レザー張りのダッシュボードとセンターコンソールも装備。ベージュのベロア生地フロアマットもマッチし、とてもゴージャスなキャビンを形成している。

そしてX85フラットノーズとしてはわずか2台しか製作されなかったといわれる「グランプリ・ホワイト」のエクステリアは、このクルマのエクスクルーシヴ性をさらに高めているうえに、スタイリッシュな18インチ「RSカップ」ポリッシュホイールも装着されるほか、電動スライディングサンルーフによるオープンエアドライブまで可能とする。

この純白のX85フラットノーズは、ブラックホーク・コレクションの施設内に2016年まで所蔵されていた。その結果、オークションの公式カタログ作成時の走行距離はわずか39マイル(約63km)にとどまっている。

2016年8月、このフラットノーズは今回のオークション出品者である現オーナーに譲渡され、以来「ホワイトコレクション」の一員となっている。このオーナーシップ移動に先立って包括的なサービスが実施され、油脂類やフィルター、燃料ポンプ、インジェクター、ブレーキライン、ドライブベルト、ストラットを新品に交換している。

そしてコレクションに保管されている間も、このクルマは毎月エンジンをかけられ、作動温度まで走らせてきたとのことである。

今回のオークション出品にあたり、エアコンプレッサーや純正ボディカバー、ツールロール、ポーチつきオリジナルオーナーズブック、オリジナルウインドウステッカー、ドキュメントバインダーが付属する旨もカタログに記されていた。

そして出品者とRMサザビーズ北米本社は、米国仕様X85パッケージの希少性とともに、現存するX85フラットノーズでは随一と考えられる超ローマイレージに、極上コンディションまで兼ね備えた911ターボS「フラットノーズ」について、自信たっぷりな150万ドル~200万ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ただ、同じRMサザビーズが2022年1月に開いた「ARIZONA」オークションでは、比較的条件の近い964ターボSフラットノーズX85が出品され、132万5000ドルで落札された実績もあることから、このエスティメートは順当ともいえるものだった。

また、さすがに高価格が予測されるロットゆえ最低落札価格は設定されていたようだが、実際の競売ではエスティメート下限を少しだけ割り込むとはいえ、2年前のアリゾナ・オークションにおける落札価格を14万ドル近くも上回る、146万2500ドル。日本円に換算すれば、じつに約2億1700万円という大商いとなったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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