オーナーズマニュアルなどの付属品も充実
3.4LのV型8気筒エンジンが発揮する最高出力は300ps。まったくの新型車である348tb/tsは、デビュー当初にさまざまなトラブルが発生するが、フェラーリは1990年には早くもシャシーの強化を行うなど、それらのネガを打ち消すための多くのマイナーチェンジを実施する。
1993年の2月にデビューしたここでの主題であるフルオープンの348スパイダーは、ただ単にソフトトップの採用によって開放的な走りが楽しめるようになったばかりではなく、さらにその後に誕生する「348GTB」、「348GTS」と同様の改良が先行して施されていた、パイロットモデル的な役割をも果たしたモデルだったのである。
1973年に生産を中止した2シーター・ソフトトップ車、「365GTS/4」(デイトナ・スパイダー)から、20年の空白を埋めた348スパイダーには、もちろんほかにもオープン化のために剛性を高める補強作業も講じられており、モノコックやシャシーにも専用の強化部材が使用されていた。
ミッドの3.4Lユニットはさらに20psのエクストラを得て、最高出力は320psに。そのパワーはオープンゲートの5速MTとセルフロッキングデファレンシャルを介して後輪に送られた。
今回の出品車は1993年11月10日に、サント・テルソに在住する最初のオーナーに引き渡されたもの。ソフトトップとインテリアのレザートリムはいずれもブラックで、オプションではフロントとリアのフォグランプ、エアコン、パワーウインドウ、ヒーテッド・ドアミラーなどが装備されている。純正のツールセットやタイヤの空気入れセット、そしてオーナーズマニュアルも付属するというから嬉しい。
新車からの走行距離が、わずかに1万3291kmという低走行車であることも、この出品車に多くの視線が集まった理由のひとつ。最終的な落札価格は8万6250ユーロ(邦貨換算約1380万円)。フェラーリはわれわれにとって、まだ手が届くことが証明されたオークションだった。