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稀代の歴史的名車、2代目フィアット「500」を勉強しよう! 5つのジェネレーション/タイプを簡単に解説します【週刊チンクエチェントVol.34】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)/Stellantis N.V.

  • フィアット ヌォーヴァ500
  • フィアット500D
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  • フィアット500R
  • ゴブジ号はフィアット「500L」

2代目500のモデル変遷を振り返る

名古屋の「チンクエチェント博物館」が所有するターコイズブルーのフィアット「500L」(1970年式)を、自動車ライターの嶋田智之氏が日々のアシとして長期レポートする「週刊チンクエチェント」。第34回は「2代目チンクエチェントの特徴と見分け方」をお届けします。

大きく5つのジェネレーション/タイプに分かれる

なるほど。合点がいった。そういうわけだったのか……。

スティルベーシックで聞かせてもらった、ゴブジ号の知られざる過去について、あらためて想いを馳せる。ゴブジ号は1970年の12月にイタリアのジェノヴァで初めてナンバープレートをつけ、街を走りはじめた。そして2021年の2月に日本へとやってきて、この地を走ってる──止まっちゃってることもあるけれど。

その間に何人のオーナーがこのクルマと暮らしてきたのかは知るよしもないけれど、どこかのタイミングで誰かが、扱いのめんどくさい、あるいは人によっては難しいオリジナルのトランスミッションから、扱いやすいシンクロ機構付きの「126」用ミッションに換装したわけだ。フィアット126は通しでいうなら1972年から2000年まで作られてるわけだが、チンクエチェントに126用ミッションを組むという手法は確か1990年代から少しずつ知られるようになったと記憶してるし、何よりゴブジ号に積まれてたのはほぼ最後期に近いものらしいから、おそらく21世紀に入ってから手を入れられたことになるのだろう。

ということは、きっとそのオーナーは、かわいらしい姿と違って──慣れたりコツを覚えたりすれば何てことないはずなんだけど──意外や扱いづらいチンクエチェントを少しでも扱いやすくして、長く乗りたいと思ってたんじゃないか? 本当は離れたくなかったんじゃないか? なんて想像してみたりする。そんなふうに心を遊ばせることができるのも、古いクルマとつきあう楽しみのひとつだったりする。

……というところで思い出した。前回、まったく何も気にしないで「500R」だとか「500L」だとか記しちゃったけど、考えてみたら多くの人にとって、それはやっぱり「……何の呪文?」だったんじゃないか、と。ぜんぶ同じように見えて、実は2代目チンクエチェントにはいくつかタイプがあって、それぞれビミョーに違うのだ。それぞれの特徴と見分け方あたり、サラッとお伝えしておく方がいいように思う。

絵巻物のようになっちゃうから細かいお話は省くし、ヴァリエーションについても今回はあえて触れないという前提だけど、2代目フィアット500は、大きく5つのジェネレーション/タイプに分けることができる。

ヌォーヴァ500:1957〜1960年

500D:1960〜1965年

500F:1965〜1972年

500L:1968〜1972年

500R:1972〜1975年

ヌォーヴァ500はいうまでもなく2代目フィアット500の最初のモデルであり、マニアの間では「500N」と呼ばれることもある。前開きのドア、リアウインドウの下側まで開くオープントップ、そしてとりわけ最後期となる1959年秋までのモデルが持つヘッドライト下のエアインテークやティアドロップ型ウインカー、小さなテールランプなどのディテールは、今となっては素晴らしくクラシカルな雰囲気を醸し出していて魅力的だ。シリーズ全体を通じてコレクターズアイテムとなっているが、とりわけ1957年の7月のデビューから3カ月の間に生産されたモデルは「プリマ・セーリエ(=ファースト・シリーズ)」として希少価値が高い。

後席はパッドのないベンチみたいなあつらえで、ほとんど2シーターのようなもの。そこからも察せられるとおり、室内はスパルタンといってもいいくらいに簡素だった。

当初のエンジンは479ccの13.5馬力、のちに15馬力、16.5馬力と申し訳程度にパワーアップを果たしていく。1958年にはエンジンを499.5ccに拡大して21.5馬力にパワーを引き上げた「500スポーツ」というモデルが登場。このモデルではルーフ丸ごとではなく半分のみオープンにできる仕様も用意され、1959年から通常のモデルでは「トラスフォルマービレ」と呼ばれる丸ごとオープン仕様と「テット・アプリービレ」と呼ばれる半分オープン仕様が併売された。

500Dは、1960年に登場したそれらの後継モデル。エンジンは500スポーツの499.5ccを18馬力へとディチューンし、ルーフの形状は半分のみオープンのお馴染みのタイプのみとなった。基本的な外観は、500Nの1959年秋以降のモデルにほぼ準じていて、ヘッドライトの下側のエアインテークの位置にウインカーが配され、ティアドロップ型だったフロントフェンダーのウインカーは小さな丸形となり、テールランプ類も大型化されてリフレクターがついている。

快適性の改善も──ほんの少々だけど──おこなわれて、後席は荷物を積みたいときには背もたれを倒せるパッド入りとなるなど、ちょっとばかりフツーのクルマに近い仕様となった。以降、年とともに装備や機能は充実──といってもパッド入りサンバイザーや灰皿がついたり運転席を開けると室内灯が点いたりする程度だけど──していくことになり、現代の基準からすれば「もっっっのすごーく簡素」といったレベルから「ものすごく簡素」くらいに進化した。オプションでいろいろとアクセサリーが選べるようにはなったけど。

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