車重は980キロという驚異的な数字を実現
今回ボナムズが米国で開催したアメリア・アイランド・オークションに出品されたNSX-Rは、2007年にホンダ・レーシングから直接購入されたホワイトボディから製作が進められたもので、それは日本のレーシングチーム、「スプーンスポーツ」のレース参戦20周年を記念して特別に製作されたモデルである。
スプーンスポーツ代表の市嶋 樹氏が東京を拠点に活動するスプーンスポーツは、ホンダ・ブランドに特化したモータースポーツのトップコンデンターであり、またチューナー界のアイコンでもある。その市嶋氏が2007年モデルのNSX-Rでレーシングカーを製作しようと考えるまでに、長い時間は必要なかった。
スプーンスポーツのカタログに掲載されているパーツをふんだんに使用し、初戦となったマカオGPでは自然吸気のまま参戦したが、その後3Lエンジンに換装しシングルターボを搭載して440psを発揮。軽量化と剛性アップも同時に進められ、車重は980kgという驚異的な数字を得るに至ったという。左右のドアやダッシュボードなどはすべて軽量なカーボンファイバー製。アジャスタブル式のコイルオーバー・サスペンションやエアロパーツは、もちろんすべてスプーンスポーツ製のものとなる。
スプーンレーシングのカラーリングが鮮やかなこのマシンを入手できるチャンスは、やはり限られているだろう。今回ボナムスが提示したエスティメート(推定落札価格)は24万ドル〜28万ドル(邦貨換算約3580万円〜4170万円)。
スプーンレーシングの名はすでに世界的に轟いており、その実力を反映してか落札価格は予想をはるかに超える、36万8000ドル(邦貨換算約5480万円)にまで高騰した。日本のレースファンとしても、これはじつに誇らしいリザルトといえるのではないか。