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「Sクラス」の始祖メルセデス・ベンツ「280SEL」に試乗! ドライバーズカーとしても優秀な古典的様式美の世界とは【旧車ソムリエ】

「Sクラス」の始祖メルセデス・ベンツ「280SEL」に試乗! ドライバーズカーとしても優秀な古典的様式美の世界とは【旧車ソムリエ】

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

  • メルセデス・ベンツ 280SEL:常識的なスピードで走っている限りは、すべてをコントロール下におけそうな安心感は、この時代の高級サルーンとしては望外のものだったに違いない
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:280SEのロングホイールベース版でボディサイズは全長5000mm×全幅1810mm×全高1440mm
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:1960年代のトレンドに従ってウエストラインを低めて、ドア幅を広くするなど、あまり目立たないエクステリアのブラッシュアップも行われた
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:「Sクラス」と正式に名乗る以前のメルセデス・ベンツ製エグゼクティブ向けセダン
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:縦長のヘッドライトはボッシュ製
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:シャシーは旧W111系を継承したもので、前ウィッシュボーン+コイル/後スイングアクスル+コイルのサスペンションも踏襲
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:ボンネット後方にはエアベントが配置される
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:リアウインドウのレースカーテンが往時のショーファードリブンカーとしての活躍を物語る
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:スマートでモダンなデザインとされたテールランプ
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:1967年に直列6気筒ユニットがリニューアルされ、250S/SEは2778ccにスケールアップした「280S/280SE」に進化し、初めて「SEL」も設定された
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:1971年に当時のメルセデス・ベンツ輸入代理店「ウエスタン自動車」が輸入し、同社の親会社である「ヤナセ」のネットワークで販売された正規輸入車
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:ステアリングには左右合わせて拳ひとつぶんくらいの「遊び」はあるものの、そこから先はきわめて正確。パワーステアリングも軽すぎず、油圧ポンプの動きに引っかかりもない
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:速度計(右)と複合メーター(左)はVDO製。中央のクロックはKIENZLE製
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:操作にはちょっとだけコツを要するコラム式のATセレクター
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:ラジオはベッカー社製が備わる
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:ダッシュボード上のフェイシア前縁から前後サイドウインドウの周辺に至るまで、高い工作精度で削り出された無垢材のウッドパネルが貼り巡らされている
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:当時としては先進的な電動ウインドウのスイッチ
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:サラッとした手触りのファブリック張りシートは、座面/背面とも「バンッ」と張った硬い感触
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:体重を全面で巧みに受け止め、長距離でも疲れは最小限に抑えられるであろうことが即座にわかる
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:リアのラゲッジルームはゆとりあるサイズ
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:メルセデス「Sクラス」の源流にあるモデルで、現行W223系Sクラスでいえば「S 500 ロング」や「S 450 d ロング」あたりに相当するグレード
  • メルセデス・ベンツ 280SEL:薄くなったルーフも相まってモダンかつコンテンポラリー、洗練されたアピアランスを得た

1971年式 メルセデス・ベンツ 280SEL

「クラシックカーって実際に運転してみると、どうなの……?」という疑問にお答えするべくスタートした、クラシック/ヤングタイマーのクルマを対象とするテストドライブ企画「旧車ソムリエ」。今回は、「Sクラス」と正式に名乗る以前のメルセデス・ベンツ製エグゼクティブ向けセダン、「280SEL」のステアリングを握るチャンスに恵まれました。

Sクラスを名乗る前のSクラス、メルセデスW108シリーズとは?

ダイムラー・ベンツ社は今から60年前、1965年のフランクフルト・ショーにおいて、大成功を収めた先代「W111(コイルばね仕様)/W112(エアサス仕様)」シリーズに代わる、新開発のラグジュアリーセダンを発表した。

「W108」のコードナンバーが与えられた新型メルセデス・ベンツは、自動車デザインの嗜好が急速に変化した1960年代のトレンドに対応することを責務としていた。

そこで、ダイムラー・ベンツ社に所属する2人のデザイナー、第二次大戦前からメルセデスのスタイリングを主導してきたフリードリヒ・ガイガーとフランス人の若手ポール・ブラクは、同じく彼らの作品である先代W111系「ヘックフロッセ」(日本でいうハネベン)のシンボルだったテールフィンを、新たなW108系ではいさぎよく取り去ることとした。ほかにも1960年代のトレンドに従ってウエストラインを低めて、ドア幅を広くするなど、あまり目立たないエクステリアのブラッシュアップも行われた結果、薄くなったルーフも相まってモダンかつコンテンポラリー、洗練されたアピアランスを得るとともに、室内空間もより広々としたものとなる。

ただし、シャシーは旧W111系を継承したもので、前ウィッシュボーン+コイル/後スイングアクスル+コイルのサスペンションも踏襲されていた。

パワーユニットは、旧W111系の「220S」に搭載されていた直列6気筒4ベアリングSOHCの2.2Lユニットを拡大するとともに、7ベアリング化など大幅なモダナイズが施された新世代2.5Lと、旧W112型「300SE」から踏襲された直列6気筒SOHC 3.0L+インジェクションが用意され、前者のキャブレター仕様は「250S」、インジェクション版は「250SE」。そして後者の3.0L版は「300SEb」と命名された。

ボディサイズは全長4900mm×全幅1810mm×全高1440mm。またこの世代からは、標準(ホイールベース2750mm)にくわえて、後席のレッグスペース拡充のためホイールベース/全長とも10cm延長した「L(ラング)」版がシリーズ最上級グレードの「300SEL」として設定。W108のコイルサスペンションに対し、先代300SEと同じくエアサスペンションが与えられたことから「W109」という独立した社内コードナンバーを名乗ることになる。

1967年になるとパワーユニットのリニューアルが図られ、250S/SEは2778ccにスケールアップした「280S/280SE」に進化し、初めて「SEL」も設定された。

いっぽう、1950年代初頭からメルセデスの最上級パワーユニットとして君臨してきた直6・3.0Lエンジンは、1960年代後半になると旧態化が隠せなくなっていた。また、最大のマーケットである北米ではV8が熱望されていたことから、1969年には3.5LのV型8気筒SOHCエンジンを搭載した「280SE3.5」および「280SEL3.5」が従来の3L版に取って代わり、1970年にはエアサス搭載の「300SEL3.5」も登場。

さらには、主に北米市場向けに「280SEL4.5」も短期間ながら生産され、1972年末に初めてダイムラー・ベンツ公式として「Sクラス」を名乗った「W116」シリーズにバトンタッチすることになったのである。

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