現在進められているプロジェクトに使用するリアクターも展示
以前の取材では「FCEVを製造する気はない」と話していましたが、この技術の展開がどうなるのか期待をしていました。今回の取材では、現在もさまざまなプロジェクトが水面下で進行しているようで、FCEV関連についてはまだ発表できるものではない、という状況のようです。FCEVよりももっとシンプルな、気球などへの活用例を展示していました。気球は気温の降下とともに浮力が低下していくのですが、そこで水素を供給することで再浮上させることができるというものです。
実際にこのプロジェクトを進めているのは「GOCCO.」というベンチャー企業で、こちらでは成層圏で実験などを行う活動や、災害時の上空からの調査などにバルーンを使用するプロジェクトを進めています。そして現在進められているプロジェクトに使用するリアクターも展示されました(気球のイメージのバルーン部分は、室内での展示のためヘリウムガスが入っています)。
そのリアクター部分はペットボトルを加工したもので、これを回転させることで「水素化マグネシウム」に水がかかる極めて簡単な仕組みです。もう1度ひっくり返して水を分離させれば反応はすぐに収まるため、この回転操作で水素の発生を細かく調整することができるというものです。ただ圧力管理はほぼ不要で温度管理のみを行うシンプルな構造とすることができるため重量増も抑えられ、長期のフライトを実現させるというのです。
これからの開発に期待
また自動車関連で「水素化マグネシウム」を使用する新たな展開の紹介もありました。それが内燃機関への添加剤、というものでした。MgもH2も燃焼効率を上げることによって水素混焼でも燃費削減(10%前後)や排ガス削減(10〜20%)に寄与できるという提案です。すでに各所でのボイラーでの実証データや、ディーゼルエンジン車両での燃費向上やDPF(排ガス浄化装置)のつまりが減少するなどの効果が得られたとしており、さらにガソリン車でのデータでも燃費の向上と排ガス検査での排ガスの削減(燃焼室内のクリーニング効果)が得られたとしています。
安全に水素を持ち運べる「水素化マグネシウム」。実際にこれをクルマに載せて走るFCEVに乗れる日はまだ先になりそうですが、それでもバイオコーク技研から近いうちにまた何かしらの発表ができるということです。そんなこれからの発表にも期待したいですね。





































