量産モデルでは表現できないシルエットに注目
2025年も期待通り盛大に開催された大阪オートメッセ2025(OAM)には、全国各地から日本を代表するカスタムビルダーが集まり、渾身の力作を披露しました。そんな中で「これは凄い!」と会場を訪れたギャラリーの注目を集めていたのが、福島県に拠点を置くカスタムカーメーカー「Value Progress(バリュープログレス)」が手がけた新型スーパーカー「Beast(ビースト)」です。
ベース車両はランボルギーニ ディアブロ
「心の底から楽しめるクルマ作り」をテーマに、カスタムカーメーカーとして過去に数多くチャレンジを行い、独創的なアイデアによって優秀賞を受賞した輝かしいキャリアを持つバリュープログレス。そのマシンシリーズの頂点に君臨するフラッグシップモデルとして製作されたのが日本製スーパーカーの「ビースト」である。
このクルマを誕生させるうえで、ベース車として選んだのはランボルギーニ「ディアブロ」だった。フルカスタムリメイクによる戦闘的なフォルムで、ボンネットを30mm延長し、V字ラインを強調するダクトデザインが印象的だ。ヘッドライトは、フェンダーと一体式のカウルの中に縦型に配置している。中央のダクトにも小型ライトを埋め込み、オリジナリティを追求。その作り込みはスーパーカーというよりは、レーシングカーのフォルムを意識した作り込みであるといえる。
また、バリュープログレスがビーストだけに与えたエアロフォルムとして、複雑に重なり合いながらエッジを交差させるエアインテークダクトが攻撃的なルックスを作り出す。ボディサイズは全長5030mm×全幅2400mm×全高1100mm(ルーフ部)、スポイラー最上部までの高さは1260mmというド迫力フォルムで未来のスーパーカーを連想させ、強烈なインパクトを発揮している。
カスタムの無限の可能性を切り開く
また、鋭さを強調するデザインはリアセクションにいくほどエスカレートし、ルーフからリアウイングに繫がるルーフベントパネルに加えて、リアバンパーはそのすべてをディフューザーとして大幅にデザイン変更。さらに、斬新な4本出しアップマフラーを製作し、ギミック感を強調し、後方排気システムとして主張している。
複雑なボディパネルを組み合わせた造形は見事としか言いようがない。そして、ベース車の面影をまったく感じさせない新たなアグレッシブスーパーカーとして魅せる点も素晴らしい。
このビーストの製作者であるバリュープログレス代表の白岩 薫氏は次のようにコメント。
「メイド・イン・ジャパンの超スーパースポーツカーを作る」
とにかくこれを実現させるために情熱を注いで手がけたと話す。シルエットをどうするか、機能美を追求するために押えるポイントはどこなのか。このビーストは、とにかくカッコ良く、スーパーカーであることを主張するための要素を詰め込んでデザインされた。ある意味で、カスタムの無限の可能性を切り開く。そんな世界に誇るジャパニーズカスタムを象徴する1台のようにも感じる。
正体不明感がハンパない、特別な1台として仕上げられたビーストは、量産モデルでは表現できないシルエットに価値を感じるスーパーカーであった。