ターボならではの独特な雰囲気が演出
鮮やかなスピードイエローのカラーに18インチ径のテクノホイール、パフォーマンスの高さを象徴しているかのようなレッドのブレーキ・キャリパーがアクセントとなる出品車のエクステリアは、じつに刺激的なフィニッシュでまとめられている。
リアフェンダーはノーマルボディと比較して、このターボでは60mmワイド化されているが、よりダイナミックで流麗な造形に変化したリアウイングなどとの相乗効果で、リアセクションでは特にターボならではの独特な雰囲気が演出されているのが誰の目にも分かる。
リアに搭載されるエンジンは、3600ccの空冷水平対向6気筒(M64型)の両バンクに、各々KKK製のK16型ターボを組み合わせたもので、その最高出力は408ps。さらに多くの911ファンを驚かせたのは、ポルシェがその駆動方式として、ビスカス・カップリングをセンターデフに使用した、フルタイム4WDを採用してきたこと。駆動力の5%は通常時でも前輪側に伝達される仕組みだ。
プレスカーとして活躍した個体
パリ・オークションに姿を現した、この1996年式911ターボ クーペは、1995年1月31日に生産ラインから出荷された後、ポルシェ自身によって所有され、メディアの取材に対応するための、いわゆるプレスカーとして使用された履歴が残る。
その役割を終えたのち、2000年代初頭にはイタリアに渡り、さらに2007年にはフランスへ。そして2017年12月に、ベルギーのオーハインにあるオーガスト・ポルシェSA社を通じて、今回のオークションにはほかのコレクションとともに出品し、キュレーテッド・コレクションに売却。この時にオドメーターに刻まれていた走行距離は6万9502kmだったという。
2022年7月、ベルギーのモン・サン・ギベールのクロノス・ポルシェによって大規模なサービスが行われ、オークション出品時点では7万789kmを走行していた、この911ターボ。その落札価格は21万8500ユーロ(邦貨換算約3500万円)と、人気を裏づける結果となった。ポルシェ911シリーズのオークションシーンにおける評価は、堅実に推移していることがこの例からも明らかになった。


































































