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遮断器のある踏切でなぜ「一時停止」が必要なのか? 海外のように「徐行」ではダメな理由について考察してみました

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: AMW/写真AC(Photo AC)

  • 電車が通過する際には、踏切の遮断機が降りる
  • 昔の踏切には遮断器がなく、安全確認をする必要があった
  • 当然ながら電車が通過する際には、踏切の遮断機が降りる
  • 日本では踏切を通過する前は一時停止をすることになっている
  • 電車が通過する際には、踏切の遮断機が降りる

踏切手前の一時停止は安全確認を行うのが目的

日本人の気質を表す言葉に「事なかれ主義」というのがあります。交通ルールなどもまさにその典型で、「速度は小さく」「とにかく一時停止」といった傾向が非常に強いです。なかでも違和感があるのが踏切前での一時停止。遮断器もあるなかなぜ一時停止の必要があるのか解説します。

海外と同じように徐行で十分では……?

アメリカでは、(バスやトラックを除き)乗用車に踏切前での一時停止の義務はなく、むしろ止まるべきではない場所で停車することは、後続車から追突されるリスクがあるとされている。欧州各国にも踏切前で一時停止するルールはなく、踏切前での一時停止を義務付けている国はかなり少数派といっていい。日本において踏切前で一時停止いなければならない根拠は、道路交通法33条1項に次にように記されている。

「車両等は踏切を通過しようとするときは、踏切の直前で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない」

とあるためだが、これは遮断機のないローカルな踏切が多かった頃の名残で、かなりカビ臭い法律といってもいいだろう。

たしかに日本ほど鉄道網が発達している国は少ないし、これほど踏切が多い国は稀だろう。そしてひとたび鉄道とクルマが接触するような事故が起きれば、重大インシデントになるのは間違いないが、教習所では「踏切前では窓を開けて目と耳で安全確認」と徹底するのは過剰反応というか、鉄道を特別視しすぎではないだろうか。

おさらいしておくと、踏切手前で一時停止するのは、安全確認を行うのが目的。踏切では死亡や重傷事故などの大きな事故が起こりやすいので、一時停止して安全確認をすることが欠かせない、というのが上の言い分だ。

それだけなら、海外と同じように徐行で十分だと思うが……。

・遮断機が故障していたらどうする
・踏切の先で渋滞が発生していることだってある
・一本の列車が通過しても、反対方向からもう一本列車が近づいてくることもある

などの理由で、踏切前の一時停止は不可欠だ、というのが交通行政にかかわる方々の考えらしい。

遮断機の信頼性を高める方が合理的?

しかし、遮断機が故障する可能性は、信号機が故障する可能性より大きいとはいえなく、同じ踏切でも信号機付きの踏切は例外的に一時停止義務がないことを考えると、この理屈には無理がある。

踏切の先で渋滞しているかどうかは、一時停止しなくてもわかることで、信号機のある交差点でも、交差点内に取り残されるのは違反。これも根拠としては弱い部分だ。

列車が続けて通過するケースも、遮断機が正常に機能していれば心配ないため、ドライバーに一時停止の義務を課すより、遮断機の信頼性を高める方が合理的なはずなのだが……。

結局のところ、「安全第一」を錦の御旗に掲げ、鉄道=公共=エスタブリッシュメントに、庶民は「恐れ入れ」との考えが根底にあるようにしか思えない。我々市民こそ、主権者なのに交通ルールはおかしなことがまかり通りすぎていると考えるのは、ひねくれたものの見方だろうか?

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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