予想落札価格よりも低めに落札
1974年にロードテストを行った、Road& Track誌は、そのレポートの中では次のように語っている。
「フェラーリに当然期待される性能と、すでに述べたエンジンの驚くべき柔軟性はさておき、おそらくディーノ308の最も並はずれた特徴は、それが提供する優れた快適性であろう。低速においては振動を感じることはなく、また高速では路面の凹凸が見事に吸収される。これまでのフェラーリと比較すると、その進歩は非常に大きい」
フェラーリではなく、ディーノのエンブレムを掲げてデビューした308GT4は、1976年末には内外装のマイナーチェンジを受け、また1978年になるとエンジンのセッティングが変更され、いわゆるシリーズIIへと進化を遂げる。ちなみに、のちにシリーズIと呼ばれることになった初期型のモデルは、2シーターの308GTBよりも高回転型のカムシャフトが使われるなど、そのチューニングはエクステリアデザインから想像する以上に徹底している。
そのディーノ308GT4が、先日ボナムズのオークション「ル・グラン・マークス・ドゥ・モンド・ア・パリ」に登場した。サービスブックやさまざまな歴史資料、そしてヨーロッパ登録のタイトルとともに提供されるディーノ308GT4は、もちろんシリーズIで、フロントノーズにはフェラーリでなくディーノのエンブレムが輝いている。
ボナムズの提示した予想落札価格は6万ユーロ~8万ユーロ(邦貨換算約960万円〜1280万円)。しかも最低落札価格なしという条件でのオークションだったため、大きな注目を集めたが、結局入札は5万6350ユーロ(邦貨換算約900万円)という数字で落ち着いた。参考までにその走行距離は5万1427km。まだまだ走りは十分に楽しめそうな1台である。
























































