クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CAR
  • 20年間ほぼワンオーナーだった「エンツォ フェラーリ」の相場は約8億円以上! アメリカには5台しかない…走行距離は1688kmの新車のような1台でした
CAR
share:
20年間ほぼワンオーナーだった「エンツォ フェラーリ」の相場は約8億円以上! アメリカには5台しかない…走行距離は1688kmの新車のような1台でした

20年間ほぼワンオーナーだった「エンツォ フェラーリ」の相場は約8億円以上! アメリカには5台しかない…走行距離は1688kmの新車のような1台でした

投稿日:

TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

“ほぼ”ワンオーナーの超ローマイレージ

今回RMサザビーズ「MIAMI 2025」オークションに出品されたエンツォ フェラーリは、RMサザビーズ社曰く、このモデルとしても最上級を自認する1台。

シャーシナンバー#132333は、2003年3月に製造された米国仕様。ボディカラーは「ロッソ・コルサ」で仕上げられ、「クオイオ(Cuoio:ナチュラルレザー)」のシートとダッシュボードトリムが組み合わされた、米国仕様ではわずか5台のうちの1台であることが判明している。

また、車両とともに保管されているオリジナルのウィンドウステッカーと保証書から、このエンツォはカリフォルニア州ミル・バレーの「フェラーリ・オブ・サンフランシスコ」を介して正式に販売されたことがわかる。

フェラーリの世界的権威、マルセル・マッシーニ氏によるヒストリーレポートが裏付けるように、この個体はアメリカ屈指のコレクター、ネバダ州スパークスの故ロバート・M・リー氏が新車として購入したもの。これまで「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」の最高位「ベスト・オブ・ショー」を2度にわたって受賞してきたボブ・リー氏は、フェラーリをこよなく愛する熱心なコレクターであり、この美しいエンツォは、彼のコレクションに収められていた間、世界でも有数のレベルと目される歴史的にも重要なモデルと一緒に並べられていたに違いない。

アメリカ国内での登録履歴を証明する「カーファックス」によると、このエンツォは登録後の20年間、ほとんど運転されることなく、走行距離の増加はごくわずかであった。2014年10月までの段階で、オドメーターはわずか991マイル(1591km)しか表示していなかった。

2016年にリー氏が亡くなった後、彼のコレクションからいくつかのクルマが放出されたが、このときにエンツォも、現在の1049マイル(1688km)という超ローマイレージに近い距離をオドメーターに表示したまま売却されることになった。

さらに現在のオーナーは、不確実な経済状況のもとで代替資産クラスの投資としてこの#132333を入手したとの由。それゆえ、RMサザビーズの保管庫で運転されることなく保管され、現状としては事実上のワンオーナーと見なされている。

コレクターにとっては夢のような1台だが……

前述のとおり、現時点での走行距離はわずか1049マイルというエンツォは、RMサザビーズのガレージに保管されながら、ほとんど使用されていないことに見合った「ショールームクオリティ」を、20年の時を経ても体現している。くわえて「クオイオ」のレザーシートという超レアなインテリアに加え、このフェラーリには適切な純正ラゲッジセットも付属し、オリジナルのウィンドウステッカーが貼られている。

「フェラーリピュアリストやスーパーカーコレクターにとって、この特別なエンツォを超えるものはないだろう」

RMサザビーズ北米本社が、そんな謳い文句とともに設定したエスティメート(推定落札価格)は、550万ドル~650万ドル(邦貨換算約8億2500万円〜9億7500万円)という、近年のエンツォの相場価格を大幅に上まわるものとなった。

たしかに、走行距離や現状のコンディションを鑑みての価格設定だったことは間違いないものの、2月28日に行われた競売では現オーナーが希望したリザーヴ(最低落札価格)まで及ばず、結局は「Not Sold」。つまり、流札に終わってしまったのである。

12
すべて表示
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
著者一覧 >

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS