スチール製チューブラフレームを採用
テスタロッサが採用した基本骨格は、角型断面のチューブラーフレームで、メインセクションの前後にはサブフレームを接合。リアサブフレームにはサスペンション、そしてF113A型と呼ばれる5LのV型12気筒自然吸気エンジンが搭載された。ちなみにリアサブフレームの構造は、1992年に発表されたマイナーチェンジ版の512TRでは、軽量化とさらに高い剛性を確保するためメインフレームと一体化されている。
最高出力390psを発揮した5Lユニットには前期型と後期型が存在し、そのもっとも大きな違いは燃料供給システム。いずれもボッシュ製だが、前期型はKジェトロニック、後期型はKEジェトロニックを用いる。エンジンの直下に組み合わせられるミッションは5速MTで、これはBB時代の設計そのままである。その構造から重心が高くなるのは避けられない問題だったが、実際のテスタロッサの走行フィールは、スーパースポーツの名に恥じない、じつに魅力的なものに仕上がっている。
希少な右ハンドルがオークションに登場
今回ボナムズが開催した、グッドウッドメンバーズミーティングオークションに出品されたテスタロッサは1986年式であるから前期型となる。最大の特徴は右ハンドル仕様であることで、これは1986年11月14日に、マラネロ・セールス社からイギリスのカスタマーに販売されたことに直接の理由がある。
クラシックなロッソコルサのボディカラーを持つこのモデルは、2007年12月にやはりボナムズが開催したオリンピアオークションにも出品され、その時点での走行距離はわずかに1万5040kmだったという記録が残る。現在その数字は1万5680kmに増えたのみだが、この間に定期的なメンテナンスと走行が、出品者の「インハウス」メカニックによって行われてきた。それはフューエル・フロー・アキュムエーターやダンパー、フロントボンネットの交換にまで至る、徹底した作業だったとボナムズは語る。
このテスタロッサに対して、ボナムズが提示した予想落札価格は7万ポンド〜9万ポンド(邦貨換算約1315万円〜1690万円)。最低落札価格なしという条件で行われたこのオークションには大きな注目が集まったが、最終的な入札価格は14万9500ポンド(邦貨換算約2810万円)にまで跳ね上がった。フェラーリのクラシケ(クラシック)として、テスタロッサ世代の12気筒ミッドシップは、これからますます注目される存在となるのかもしれない。




















































