見た目はハコスカだけど中身は別格
ノーマルフォルムを色濃く残しながら、最新の技術と美意識で再構築された日産3代目「スカイライン」、通称「ハコスカ」がNostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)に登場しました。見た目の美しさだけでなく、内部に秘めた機能性と走行性能も圧巻の完成度。旧車という枠に収まりきらない、進化したカスタムカーの今を体現する1台です。
最新のチューニング手法も積極的に採用した意欲作
ビンテージカー人気は世界的に高まりを見せており、それに比例して「ストック重視」の傾向も強まっている。この流れは国産旧車にも当てはまり、カスタム車両やチューニング車両は徐々に数を減らしつつある。
そうした潮流があるなかで異彩を放っていたのが、福岡県のショップ「ENERGY(エナジー)」が手がけた日産KGC10型「スカイライン」、通称「ハコスカ」だ。
ボディはブルーグレーにペイントされ、低いスタンスに大径ホイールを履く。じつは2025年2月22日〜23日に横浜で行われたNostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)の開催直前に完成したばかりの個体だという。
アメリカのプロツーリングやレストモッドといった手法を取り入れ、旧車カスタムの定番にとらわれることなく、最新のアイテムを積極的に採用。国産旧車カスタムとしては珍しい、先進性を感じさせる1台となっている。
定番にとらわれないパーツチョイス
基本的なシルエットはハコスカのレース仕様をオマージュしながらも、公道走行を前提にバンパーを残し、ヘッドライトカバーはクリアタイプを採用している。オーバーフェンダーはサーキット仕様に近い形状で、大型のチンスポイラーや純正形状のリアウイングなども装着する。
このように見た目はある意味トラディショナルである一方、機能面においてはアップデートのオンパレードといってよい。足まわりにはコモンスナッパー製のKANDENサスペンションを採用し、ブレーキにはフェラーリ「F360」用のブレンボキャリパーを流用。ホイールは17インチのバラマンディデザインデイのサンダーを装着する。さらに、ステアリングはラック&ピニオン方式へ変更されるなど、見えない部分にも細かな手が入れられている。
インテリアに目を向けると、スムージング処理を施したダッシュパネルにオートメーターのSPEK PROシリーズのメーターが並ぶ。形状のみ純正を尊重したセンターコンソールには、電装品を集中制御するMoTeC製PDM用キーパッドが設置されている。レカロシートやドアパネルはワンオフで張り替えられたカスタムインテリアとなっている。
魅せるパワートレーンはOS技研のツインカムユニット
搭載されるエンジンはOS技研製TC24 B-1Zのコンプリートユニットで、排気量は3.2L。φ55のスロットルボディを用い、MoTeC製M130で制御されている。トランスミッションにはNISMO製6速マニュアルを組み合わせており、走行性能も申し分ない。
とりわけ特筆すべきは、その美しく仕立てられたエンジンルームだ。不要な穴は埋められ、ボディ同様に美しくペイントが施されている。さらに、アメリカのショーカーに見られる「ワイヤータック」と呼ばれる配線処理を採用し、配線や配管が目立たないよう巧みにまとめられている。その結果、エンジンがまるで浮いているかのような印象を与えている。
アメリカには「SHOW&GO」という言葉がある。ショーカーとしての美しさと、実走行におけるパフォーマンスの両立を意味するものである。このハコスカは、まさにそのSHOW&GOの理念を体現した1台といえるだろう。