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BMW E30型「M3」が約4420万円で落札!レースカー以上のパフォーマンスとカーボンボディを採用

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

初代オーナーの理想をすべて投入したM3

「リダックス・リヒトバウ(Redux Leichtbau)」は、40年前のグループAホモロゲーションの伝説を再現したこのモデルを限定30台のみ完成させる予定で、現時点でもオーダー済みの車両の製作は進行しているようである。

このほどRMサザビーズ「MIAMI 2025」オークションに出品されたのは、サーキット専用として試作された第1号車のあと、ロードカーとして初めて完成した第2号車。もともとはブラックだった1987年型E30系M3をベースにしたこのレストモッド車両は、2019年から2021年にかけてリダックス社によってレストア作業が施され、その作業には4000時間という途方もない労力が費やされた。

この個体をオーダーしたオーナーは、自身が理想とする完璧なM3を作り上げるために約56万7000ドルを費やしたという。その結果、エクステリアはペイントプロテクションフィルムで保護された見事な「ミッドナイト・エメラルドグリーン」で、インテリアは「バーントオーク」ナッパレザーとアルカンターラで設えられている。

しかし、RMサザビーズの公式オークションカタログ作成時点で、このレストモッドM3の走行距離は340マイルに過ぎない。つまり、事実上の新車状態にあるということである。

すでに30台の限定枠は完売

現在でも、リダックス・リヒトバウ社はさらなるオーダー済み車両の製作に取り組んでいるが、すでに30台の限定枠は完売となっている模様。RMサザビーズ北米本社はそこで公式カタログにおいても

「キャンセル待ちを回避し、真に象徴的なMカーの究極の現代的解釈を即座に手に入れることができる素晴らしい機会」

とアピールしつつ、現オーナーと協議のうえ、27万5000ドル~32万5000ドル(邦貨換算約4125万円〜4875万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定することになった。

そして迎えた競売では、ビッド(入札)が順調に進んだようで、終わってみれば30万7500ドル。つまり、現在のレートで日本円に換算すれば約4420万円で競売人のハンマーが鳴らされることになったのだ。

たしかに、このクルマを特注オーダーした初代オーナーの支払額からすれば、この落札価格はかなり低くなってしまった感も否めない。しかし、オリジナルE30系M3のなかでもっとも市場価値の高い「スポエヴォ(スポーツ エヴォリューション)」の相場価格が3000万円+αあたりで推移している現況を思えば、なかなかの高評価と見るべきなのかもしれない。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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