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メルセデス・ベンツ「280SL」が約2580万円で落札!クラシックカーを初所有するクルマ好き富裕層に人気のモデル

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

時代を超えて愛されるクラシックカーは、現代でも実用性のある実力を持っている

2025年2月末に開催された、RMサザビーズ「MIAMI 2025」オークションに出品されたのは、W113シリーズとしては最終進化版にあたる「280SL」。もとよりアメリカ仕様として製造された個体で、オリジナルのエクステリアカラーである「ライトアイボリー(DB 670G)」と、それにマッチした「パゴダ」ハードトップが、新車としてラインオフした当時から維持されている。

1970年1月にダイムラー・ベンツ本社ジンテルフィンゲン工場からラインオフし、カリフォルニアにデリバリーされたこの車両は、1ピースのディスクホイールカバーや上部をスモークガラスとしたウインドウスクリーン、「ベッカー(Becker)」社製ラジオ、シングル運転席サイドミラー、パワーステアリング、そしてフロア式の4速オートマチックトランスミッションをオプションとして装備。また、前後バンパーのオーバーライダー、リヤのキンダー(子供用)シート、マイル表示メーターなど、US仕様特有のディテールも見受けられる。

ところで、新車として作られた当初は、明るい茶色「コニャック」の本革レザーシートに「ブラウン」のカーペット、「ベージュ」のコンバーチブルトップという比較的穏当なインテリアであった。しかし、現在ではシートと内装パネルのレザーハイドにくわえて、ザックリとしたサイザル生地のカーペットもすべて赤で統一。汚れのないブラックのクロストップを組み合わせるという、より刺激的なカラースキームに変更されている。

カーオーディオは最新ブルートゥースを搭載

そしてこの個体には、もうひとつ特筆すべき、そして非常に魅力的なアップグレードが施されている。リビルトされたベッカー「ヨーロッパ・グランプリ(Europa Grand Prix)」ラジオには、最新のブルートゥースモジュールが搭載されている。そのかたわら、ユニットは純正指定の「ヒルシュマン(Hirschmann)」電動アンテナと組み合わされたままとなっているのだ。

このメルセデス・ベンツ280 SLは、2011年に2代目のオーナーに譲渡されてフロリダに引っ越すまで、じつに40年以上にわたり初代オーナーの手元にあったとのこと。さらに10年間もこの個体を楽しんでいたセカンドオーナーは、自身が理想とするレストアを完成させるためにクラシックメルセデスのスペシャリストに依頼。そして2022年初めに、今回のオークション委託者である現オーナーが購入した。

RMサザビーズ北米本社の公式カタログでは

「時代を超えて愛されるクラシックカーであるこの280 SLは、この名高いモデルの中でもとくに魅力的で、親しみやすい1台」

と語られるとともに、現オーナーと協議した結果として17万5000ドル~22万5000ドル(邦貨換算約2625万円〜3375万円)というエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。

そして迎えた競売ではビッド(入札)が順調に集まり、終わってみれば17万9200 USドル。現在のレートで日本円に換算すれば約2580万円で落札されるに至ったのだ。

冒頭でも述べたとおり、R113(W113)系SL、ことに4速ATの280SLは、「走る・曲がる・停まる」が現代の使用環境でもなんとか実用的に乗ることのできるレベルにあるせいか、富裕層のクルマ好きが初めて所有するクラシックカーとなる事例も多い。

たしかに今回のオークションにおけるハンマープライスは、かつての280SLの相場からすれば高騰したかにも見える。でも、現代車の新車価格が高騰している現況と比較すれば、それもまたやむを得ないこと……? と実感させられてしまうのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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