クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • 未分類
  • ドイツ兵器博物館で見た!性能が良ければ敵対国製でも採用する【Key’s note】
未分類
share:

ドイツ兵器博物館で見た!性能が良ければ敵対国製でも採用する【Key’s note】

投稿日:

TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)

タイヤは生死を分ける重要部品

ウクライナ侵略のロシア軍兵器にはウクライナ製のパーツが採用されていると聞きますし、いがみ合うアメリカと中国ですが、お互いの国が開発した技術を流用しあっているとのことですね。

WTSの展示は、いわゆる一般向け博物館のような解説パネルはあまりなく、どちらかというと「技術者のための倉庫」といった雰囲気が漂っています。あくまで、研究、保存、教育のための施設。入館に際してはパスポートとの引き換えに3€が必要になります。たんなる博物館ではなく、名前が表すように研究機関なのです。

それゆえに華やかさはなく冷たい感じがするのですが、これが妙に心地よいのです。無駄な演出はなく、純粋にモノと対話できる時間。まるで、レース前夜のガレージのようでした。

博物館の奥には、図書館のような一角もありました。棚には整然と並ぶ技術書。武器だけでなく、運搬手段である車両やタイヤに関する資料もあって、見れば見るほど、「タイヤは兵器である」という感覚になってきます。たかが黒い輪っか、されど生死を分ける重要部品。その価値を、ここで再確認できたのです。

展示を終えて外に出たとき、コブレンツの街並みは相変わらず穏やかで、ライン川の流れも静かでした。でも私の中には、戦火をくぐったゴムの匂いと、鋼鉄の手触りがしっかりと残っておりました。モータースポーツとは、平和の時代における「闘い」です。そしてその闘いの足元を支えるタイヤとは、いつの時代も、ただの消耗品ではないのだと。

そんなことを考えながら、再びニュルブルクリンクのガレージへ戻りました。レースは続きます。過去の記憶も、未来の速度も、ぜんぶタイヤに刻まれていく——そんな気がしています。

12
すべて表示
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
著者一覧 >

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS