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日本から輸出されたアルファ ロメオ「147GTA」が英国のオークションに登場!今後は価格が「化ける」可能性大

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: iconicauctioneers

日本で20年間を過ごしたためコンディションは良好

アイコニックオークショネアーズ社は、2011年に「シルヴァーストーンオークション」として創業。2023年8月に現在の屋号に改組して再スタートを図った、自動車オークションビジネス界では比較的新興勢力ともいうべきオークション会社である。

同社では、毎月末に期間限定のオンラインオークションを開催している。2025年5月のオークションでは入札を1日(木)にスタートして、1週間後の8日(木)の午後7時に締め切られた。

今回紹介するアルファ ロメオ147GTAは、このオンラインオークションに出品されたうちの1台。じつは2024年に日本から英国に持ち込まれた個体。結果として英国に長らく滞在したクルマよりも、厳しい気候や路面に散布された凍結防止剤を起因とする車両の傷みから守られてきている。

エクステリアは、近ごろアルファ147で見つけるのはかなり困難となっている淡いブルー・メタリック「アズーロ・ガッビアーノ(Azzuro Gabbiano)」で仕上げられている。GTA系ではデフォルトの「テレダイヤル」スタイルの17インチ純正ホイールが装備されている。

英国のMoT車検は2025年9月までで、車検で要修理ポイントを指摘する「アドバイザリー」もない。走行距離は6万6000kmを超えたばかりで、失われてしまうことも多いスペアキーも、日本で過ごしたクルマらしく完備している。

いっぽうインテリアは、グリップの良い布製バケットシートで、現オーナーから提供された写真を見る限りでは、驚くほどコンディションが良いように映る。また、アフターマーケットのインフォテインメント・システムが装着されているが、オリジナルのラジオも販売時にはついてくる。くわえて、レザー表皮が剝げがちなステアリングホイールの状態も非常に良さそうで、パドルとギアボックスも正常に作動している、と現オーナーは申告している。

しっかりと整備されているがセレスピードがネックに

このアルファ ロメオ 147GTA 3.2-V6 は、イタリア車らしく美しくデザインされたホットハッチで、特別に趣味の良い仕立ての1台と思われる。よく整備されており、最近では2025年3月に英国ホートン・レジスのアルファロメオ・スペシャリスト「オートルッソ(Autolusso)」社によって、このモデルでは必須のチェック項目となるタイミングベルトはもちろん、点火プラグも交換したばかりとのこと。

今回のオンライン入札に先立ち、アイコニックオークショネア社の自社の公式カタログ内で

「週末を爽快に過ごすためのツールとして、またイタリアのサラブレッドコレクションに加えられても楽しいだろう」

と謳ういっぽうで、現オーナーは7000ポンド~1万ポンド(邦貨換算約135万円〜193万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが実際のオンライン競売では、一週間の入札期間で希望した最低落札価格に届かなかったため、残念ながら「Not Sold(流札)」。現在でも同額のエスティメートを保持した上で、継続販売とされている。もしもこの個体のトランスミッションが、トラブルメーカーとして知られるとともに、変速レスポンスの点でも購入者たちの不興を買ったセレスピードではなく、コンヴェンショナルな6速MTであったならば、もっと違った結果が出たのかもしれない。

ちなみに、日本国内に正規導入された147GTAは、6速MTが左ハンドルのみ。6速セレスピードは右ハンドルが組み合わされていた。そして、現在の国内ユーズドカー市場では6速MT車が大半を占めており、おおむね300万円以下で流通しているようだ。

冒頭でも述べたとおり、この先大排気量マルチシリンダーのホットハッチが誕生する可能性は皆無に等しいことも加味して、ひところは非常に安価だった147GTAは「化ける」可能性大。部品の供給が困難になりつつあるという逆境も聞くが、それでも入手したいというコレクターにとっては、まだ比較的リーズナブルな現在の相場価格のうちに手に入れておきたいとする見方も否定はできないのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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