新電動パワートレインや全個体電池を展示
2025年5月21日〜23日まで神奈川県のパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展 2025」は、3日間で約8万人が来場し、クルマのDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する注目度の高さが窺えました。ここでは、国産乗用車メーカーの展示を中心に興味深かったブースの展示を紹介します。
持続可能な社会に向けた各社のさまざまな取り組み
3日間で約8万人の来場した人とくるまのテクノロジー展2025横浜。国産自動車メーカーをはじめ、サプライヤーそしてスタートアップ企業が出展し、“新技術との融合で、モビリティの未来へ”をスローガンにDXで実現するクルマの進化、クルマを取り巻く社会・サービスの進化、モノづくりの進化という3つの視点で展示や講演が行われた。本稿では国産乗用車メーカーをはじめ、注目した技術を紹介していく。
マツダは「CX-80」、三菱が「アウトランダーPHEV」。そしてスバルが新型「フォレスター」を展示し、それぞれのクルマに搭載されている技術やカーボンニュートラルへの道筋を紹介していた。
日産自動車は電動化技術と知能化技術の2本柱の展示を展開。電動化技術では、世界初のBEV用リチウムイオン電池から2025年内に販売予定の新型「リーフ」に搭載される電動パワートレイン、そして2028年の実用化を目指している全個体電池を展示していた。
さらに、第3世代と呼ばれるe-POWERも展示し、日産の量産電動パワートレインの歴史を紹介していた。一方、知能化技術では自動運転モビリティサービスに向けて実証実験を行っている「セレナ」をベースとしたドライバーレス自動運転実験車両を展示。ほかにもドアツードアの自動運転技術と緊急回避性能を備えた次世代プロパイロット技術のコーナーもあった。
ホンダは、2050年の「カーボンニュートラル」と「交通事故死者ゼロ」という目標達成に向けた最新技術や知能化技術による新たな価値創造技術を展示。カーボンニュートラル技術では、大型アルミダイカスト・接合技術をはじめ、搭載効率最大バッテリーパック技術などを紹介。新世代BEV、0(ゼロ)シリーズに搭載される薄型化したバッテリーの実物を展示していた。
一方知能化技術の進化では、バイワイヤデバイスを統合制御することでさまざまな路面状況でも安心して意のままのダイナミクスを提供する四輪ダイナミクス統合制御をモックアップで紹介。また異なる複数センサーによる高精度な検知や、ベテランドライバー運転行動モデルを活用したスムースな支援を行う次世代ホンダセンシングも展示されていた。
農業現場にBEV軽トラック⋯スズキが実証実験を展開
スズキは、軽トラックの「キャリイ」をベースとしたBEV軽トラックを製作して、農業を営むユーザーに一定期間貸し出し、潜在需要を探っている。また、バイオエタノール燃料に対応した250ccのロードスポーツバイクを展示するなど、さまざまなエネルギーによるモビリティを模索している。

ダイハツは助手席シートが回転し、乗降性が向上したフレンドシップシリーズのタントスローパー、回転シート仕様を展示。同社は1995年から福祉車両のフレンドシップシリーズを展開し、2018年には通所介護事業所の送迎サポートをサポートする「らくぴた送迎」の提供を開始している。そして2022年には、複数の通所介護事業者の送迎業務を共同で行うことと、地域のニーズに合った移動サービスを組み合わせた共同送迎サービス「ゴイッショ」の提供を開始している。
慢性的な人材不足が続く福祉介護の分野において、送迎業務を効率化できないか、介護施設から送迎業務を切り離せないか。異なる施設の利用者が乗り合えないか。そして空き時間を有効に活用できないか。という点に着目し、共同送迎サービス「ゴイッショ」が実現した。これにより、介護職員の93%が負担軽減を実感し、地域全体での送迎効率化により20%削減されるなど効果が表れている。人材不足を解決するとともに、持続的で質の高い介護サービスが実現されているのだ。
そしてトヨタはリサイクルをテーマに、解体しやすい車両構造や古衣料リサイクル材を活用した防音部品。そして自社回収ペットボトルのシート表皮などを展示。また、子ども用ウェアラブルデバイスを活用した子ども向け交通安全デバイス“Sayu U”。そしてスマートウォッチを利用した時計型徒歩ナビの“ツギココ”を展示。クルマに採用されている技術を応用し、大人から子どもまで外出時の安全を提供するというのは、人とクルマのテクノロジー展に相応しい展示だと感じた。

















































