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元F1ドライバー ミケーレ・アルボレートが所有していたフェラーリ「F355」が約2740万円で落札!

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

フェラーリ・クラシケも取得

フェラーリ本社発行のドキュメントと純正マニュアルがファイリングされ、主要ディーラーでのメンテナンス記録が一部ながら残っているこのF355。2024年8月にローマのクラシックフェラーリ・スペシャリスト「スクデーリア・バルディーニ(Scuderia Baldini)」社にてメンテナンスを受けるとともに、その1ヵ月後には同ワークショップにおいて、新車時代から純正指定されていたのと同じ「ブリヂストン・ポテンザ」タイヤ4本を新品に交換している。

オークションの公式カタログ作成時点で、オドメーターに示される走行距離は4万7696km。2024年12月に取得したばかりという「フェラーリ・クラシケ」の「レッドブック」とともに出品される。さらに現在では「Tubiスタイル」社のエキゾーストシステムが装着されているが、オリジナルのエキゾーストも付属しているとのことであった。

今回の出品に際して、RMサザビーズ欧州本社では

「著名なフェラーリF1ドライバーを最初のオーナーとする来歴を持つ、このクラシケ認定のF355ベルリネッタは、スクーデリア・フェラーリのファンにとって見逃せない1台」

という煽情的なPRフレーズとともに、高値安定で推移しているF355ベルリネッタとしてもやや高めとなる、15万ユーロ~19万(邦貨換算約2445万円〜3095万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

新車価格の約1.8倍の価格でハンマープライス

そして迎えたオークション当日、ミラノ市内の旧い金属加工場を改装。現在では「ミラノ・コレクション」のファッションショーなども開かれているコンベンション施設にて挙行された競売では、エスティメートの範囲内に収まる16万6750ユーロに到達。

つまり日本円に換算すると約2740万円という、新車デビュー当時の定価(日本市場でのベルリネッタは1490万円/GTSは1555万円)の約1.8倍のハンマープライスとなったのだが、この価格のうちの少なくとも数万ユーロは「故ミケーレ・アルボレートの元愛車」という甘美なストーリーがもたらしたもの……? とも思われる。

ジル・ヴィルヌーヴを喪ったあとのエンツォ・フェラーリ翁が、最期まで寵愛したドライバーだったことでも知られるアルボレートは、あの時代を知るイタリアのフェラリスタにとっては、今なお特別な存在なのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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