20世紀ミーティングで出会った奇跡の個体
新潟で開催されたクラシックカーイベントで出会った1台の1963年式トヨタ「トヨペット クラウン デラックス」は、オーナーの髙村さんが子どもの頃からずっと憧れ続けていた存在でした。非常に綺麗なコンディションを維持するこのクルマの物語をお届けします。
160台超が集結したカーイベントで2代目クラウンを発見
2025年4月13日に新潟県三条市のミズベリング三条(水防学習館)で開催された20世紀ミーティング2025春季が開催された。このイベントはその名のとおり、”20世紀生まれ”であれば2輪・4輪を問わずジャンルや国籍は関係なくエントリー可能というおおらかなイベント。もともとは、高校生だった片桐宏基さんが発起人となって2021年に開催された「古き良き5ナンバーミーティング」がそのルーツ。現在は地元でミュージアムを開設しているKYOWA クラシックカー&ライフステーション内に事務局を置く20世紀ミーティング実行委員会が主体となって運営して、世代を超えてクルマ好きが集まる年に2回の恒例イベントとして地域に定着している。
古くは戦前の日産「ダットサン」、1997年式のいすゞ「エルフ」、ホンダ「スーパーカブ」、ミツオカ初代「ビュート」など、毎回バラエティに富んだ国内外のクルマが集まるこのイベント。今回も2輪と4輪合わせて約160台のエントラントが広い会場を埋め尽くした。そんななかで目を引いたのが、1962年にデビューしたトヨタ2代目「トヨペット クラウン デラックス」だ。純国産設計の乗用車としてデビューした初代の後継モデルとして、大幅に進化して登場したのが、この2代目クラウンとなるRS41型だ。
廃車のクラウンで空想ドライブ
「1963年式のトヨペット クラウン デラックスです。私の祖父が新車で購入して以来、ずっと身近な存在でした」
と話を聞かせてくれたのはオーナーの髙村円淨さん。この個体は1963年5月19日に製造され、実家に納車されたのはその年のおそらく6月27日だという。髙村さんは幼少期から「いずれはこのクルマに乗りたい」と祖父に話をしていたそうだが、当時は”おじいちゃんの大切なクルマに、小さな子どもが乗り込んで遊ぶもんじゃない”と言われていたそうだ。
いかにもモノを大切にする昭和のオトナのけじめを感じさせる好ましいエピソード。しかしクルマ好きの少年としては、やはり運転席に座って空想のドライブを楽しんでみたいと思うもの。そこで髙村少年は近所の廃車置き場に放置してあったクラウンの廃車に乗り込んでは、空想ドライブをしていたという。
幼い日の「いつかはクラウン」が現実に
後にその廃車置き場はなくなり、空想ドライブを楽しんでいた廃車のクラウンもいなくなった。このことが髙村少年の「おじいちゃんのクラウンに乗るんだ」という気持ちをいよいよ強くしたことは想像に難くない。いつかはクラウン。やがて時は流れ、髙村さんの元に”おじいちゃんのクラウン”がやってきたのは1998年のこと。

2002年にはエンジンやフレームにも手を入れ、現在ではご覧のとおり非常に綺麗なコンディションを維持している。2代目クラウンでも初期モデルはまだ1速がノンシンクロ。テールランプも正円ではなく、”涙目”と呼ばれるバックライトが下部に備わるなどの特徴を持つ。さらにこちらの個体は当時はまだ珍しかったクーラー装着車。そんな貴重な2代目トヨペット クラウン デラックス初期型と、物心ついたときからずっと一緒に過ごしてきた髙村さんは、おそらく日本で一番、いや、世界で一番熱心なクラウンユーザーかもしれない。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)





















































