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スズキEA11R型「カプチーノ」で東北660ターボGPに参戦! 純正タービンまま改造範囲の広い上位クラスで王者に

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • スズキ EA11R型 カプチーノ:リアウイングを装着せずノーマルっぽいエクステリア。足まわりはレーシングギアの車高調だ
  • スズキ EA11R型 カプチーノ:ライバルのほとんどがポテンザRE-71RSを履くなか、松山はディレッツァZ3をチョイス
  • スズキ EA11R型 カプチーノ:タービンは今シーズンも純正のままだ。軽量だけにパワーウェイトレシオではイーブンか
  • スズキ EA11R型 カプチーノ:前期型なのでエンジンはF6A。パワーは計測していないがパルスポーツのECUを装着
  • スズキ EA11R型 カプチーノ:エアコンがないため室内はまさに灼熱。そこで屋根にダクトを開け外気を取り入れている
  • スズキ EA11R型 カプチーノ:ラジエータを大容量化すると同時に、ボンネットにダクトを開け熱を効率よく排出する
  • スズキ EA11R型 カプチーノ:トランクにはコレクタータンクで、ガソリンの偏りを防ぐ。カプチーノには必須のパーツだ
  • 所属チーム「CSW自動車部」ではコーチ役も務める松山雄大。松山がレクチャーするようになり、ほかのドライバーも飛躍的にレベルアップした
  • スズキ EA11R型 カプチーノ:2024年は圧倒的な強さで2クラスの王者に輝いた松山。2025年もチャンピオンの最右翼だ

軽レース界に君臨するカプチーノマイスター

2025年で8シーズン目を迎える東北660ターボGPにおいて、2023年から参戦し圧倒的な強さを発揮しているのが、数少ない旧規格軽自動車のスズキEA11R型「カプチーノ」です。ドライバーの松山雄大は、かつて東北660選手権でチャンピオンを獲得し、公式レースに転向してからも輝かしい実績を残している実力派。そんな松山が、再び軽自動車レースの世界に戻ってきました。きっかけは、東北660選手権のころから付き合いのある千葉県のズィーツーオートに、カプチーノが入庫したことでした。

武器である軽量ボディは諸刃の剣

旧規格軽自動車の軽いボディは、走るうえで強い武器となる反面、ショートホイールベースゆえにコントロールが難しく、電子制御やABSも付いていないため諸刃の剣といった側面もある。しかし卓越したドライビングテクニックを持つ松山だけに、2023年のデビュー戦ではウェットながらクラス3位を獲得。第3戦を欠場し、シリーズチャンピオンこそ逃したものの、他のレースはすべて表彰台に立つという快挙を成し遂げた。

さらに圧巻だったのは2024年シーズンだ。開幕戦は純正タービンの3クラスでエントリーしたが、第2戦から仕様を変えずに2クラスへステップアップ。それでも圧倒的な速さですべてのラウンドで優勝し、2023年に獲り逃したシリーズチャンピオンを奪取する。2025年は、引き続き純正タービンのまま2クラスに参戦する予定だ。

パワーより耐久性を確保した純正タービン仕様

松山が操るマシンのスペックを紹介しよう。パワー系は前述したとおり、純正タービンのブーストアップで、ECUはパルスポーツで現車セッティングが施されている。ブーストは1.15kg/m2で、極端なハイパワーではないものの、低回転から豊かなトルクを発生し、全域でレスポンスも良好だ。エキゾーストマニホールドとインタークーラーはモンスタースポーツ製で、夏のレースでも最後まで走り切れるよう、ラジエータは3層化。さらに自作した導風板を取り付け、クーリング能力が高まるよう工夫している。

聞けば、元々は耐久レース用の車両だったらしく、そのあたりは最初から手が入っていたようだ。カプチーノで必須なのは、燃料のコレクタータンク。燃料タンクの形状がよくないせいか、街乗りでは十分すぎる残量があっても、大きな横Gがかかるとガソリンが偏り燃料が供給されず、息つきを起こしてしまうとのこと。

F6Aエンジンは頑丈で高出力にも耐えてくれるが、純正パーツの廃盤が相次いでおり、壊れたら一大事だ。ただしボディは錆びがない極上モノなので、長く大切に走らせていきたいと松山は話す。

2025年は、2024年まで3クラスの上位だったドライバー数名が、タービンを交換して2クラスへ上がることを公言している。彼らを純正タービンで返り討ちにするのか、それとも社外タービンに手を付けるのか──松山の戦いぶりから目が離せない。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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