マニュアルなのにセミATよりもリーズナブル!
マセラティ本社に確認したデータによると、この個体は右ハンドル仕様の6速マニュアルトランスミッション搭載車として2005年に製作された、わずか214台のうちの1台とのこと。当時はマラネッロのフェラーリ工場からラインオフし、2022年7月に現在の所有者の手に渡ったとされている。
その前のオーナーは、2016年8月にこのマセラティを購入。主にフランスの別荘で使用するいっぽう、毎年わざわざイギリスでMoT車検を受けていたという。それでも、これらの間もあまり使用されることはなく、常にガレージ内に保管される機会が多くを占めていたそうだ。
現時点では、新車として工場から出荷されたときの仕様のまま維持されており、電動調整式でシートヒーターつきの前席(ドライバー用3ポジションメモリー機能付き)、パワーウインドウや電動式ドアミラー、ナビゲーションシステムが装備されている。
くわえて、ノンオリジナルながらマセラティ純正のアンスラサイト(濃いグレー)メタリック仕上げの19インチ「グランスポルト」アロイホイールの奥には、三つ鉾ロゴのセンターキャップを備えたシルバーのブレーキキャリパーを装着。これらのホイールには、ほぼ新品の「ミシュラン・パイロットスポーツ4S」タイヤが装着されている。
マセラティ クーペの相場は今が底値かも?
また、オーナーズマニュアルやサービスブックレット、カタログ、ネイビーブルーのレザー製トライデントがエンボス加工されたドキュメントポーチ、メインとスペア両方のキー、および詳細な履歴ファイルが付属しており、サービス履歴については、これまでのコンディションレポートで参照できるとのことであった。
オークションカタログ作成時点の走行距離は3万3941マイル(約5万4300km)を表示しており、オークション前に新しいMoT検査が実施されることになっていた。さらに現在、サスペンションのウィッシュボーンブッシュと両方のカムカバーガスケットの交換作業中とのことであった。
アイコニック・オークショネア社では自社の公式カタログで
「洗練されたマセラティ4200GTのハンサムなオールブラックの低走行距離の例で、マニュアルギアボックスの珍しいオプションの恩恵を受けている」
と自画自賛しつつ、1万2000ポンド~1万5000ポンド(約289万〜298万円)という、かなりリーズナブルなエスティメート(推定落札価格)を設定した。
そして迎えた6月1日の競売では順当にビッド(入札)が進んだようで、締め切りまでに1万3500英ポンド、現在のレートで日本円に換算すると約268万円まで上昇したところで競売人のハンマーが鳴らされることになった。
この時代のマセラティで、3200GTの4速トルコン式ATと同じくトラブルの発生源になりがちな「カンビオコルサ」よりも、6速マニュアルのほうが大幅に高価になるという現象は、どうやら日本でもヨーロッパでも変わらないようだ。したがって、日本国内でカンビオコルサ仕様のユーズドカーと変わらないくらいの今回のハンマープライスは、とくにリーズナブルとも思われる。
今後マセラティ クーペのマーケット相場は「爆上がり」こそしないであろうが、たとえば前任の3200GTがジリジリと価格上昇している現況からすれば、今が底値なのかもしれない……?













































































































