あくまでミニに似せただけ……!
フォードGT40レプリカのスペシャリスト「GTデヴェロップメンツ」社の多岐にわたる技術力を示し、自動車専門誌(のちにネットマガジンでも)で広く特集された異形のミニ ピックアップ。GTD40レプリカの専用ラダーフレームシャシーを改造し、ミニ エステート(カントリーマン/トラヴェラー)のボディワークを装着。ルーフ後部とフロアを取り除き、ミニ・ピックアップに似せた外観としている。
GTデヴェロップメンツのみならず、他社製のGT40レプリカでも定番のフォード・スモールブロック302(5L)V8OHVエンジンと5速トランスミッション。それらはミニ・ピックアップでいうならベッド(荷台)に相当する位置に、巨大なアルミニウムとファイバーグラスで成形されたアーチ下に搭載され、約300psのV8パワーを後輪に伝達する。
前後ともGTD40用を流用したサスペンションには、調整可能なローズジョイントとコイルオーバー式ショックアブソーバーを採用し、ブレーキにはアルミニウム製ハブとベンチレーテッドディスクが装着されている。
内外装は、ブライトレッドのボディペイントにロールケージ、ブラックレザーのバケットシート(英LUKE社製ハーネスベルトつき)、アルミニウムばりのダッシュボード、消火器を備えた競技仕様のインテリアが組み合わされている。そして直近の再整備・メインテナンスとしては、トランスミッションのオーバーホールやペダルボックスを新品に交換したこと、キャブレターや後輪ブレーキキャリパーを新調するなど、総額にして約1万5000英ポンドに相当する改修が施されている。
超レアなワンオフ車ではあるが……落札額は約333万円
アイコニック・オークショネア社では自社の公式カタログで
「真に唯一無二の車両。でも、控えめでシャイなタイプの方には向かないかもしれません」
と煽情的にアピールしつつ、2万ポンド~2万5000ポンド(邦貨換算約396万円〜495万円)と、われわれ日本人の門外漢には高いとも安いとも想像のつかないエスティメート(推定落札価格)を設定した。
ところが迎えた6月1日の競売では、来場者たちのとまどいを物語るかのようにビッド(入札)が進まず、エスティメート下限を大きく割り込む1万6875英ポンド、現在のレートで日本円に換算すると約333万円まで上昇したところで、壇上の競売人の小槌が鳴らされることになったのだ。
GTデヴェロップメンツのGTD40は、近年の国際クラシックカー・マーケットでも一定の評価を残しており、ちょっと調べてみるとコンディションの良い個体であれば5万ポンド以上で取り引きされるのが相場のようだ。
他方、同じくGTデヴェロップメンツの作品、しかも超レアなワンオフ車でありながら、創業社長の好奇心で製作されたという面白いヒストリーこそあれど、やはりこのミニ ピックアップは万人にウケるたぐいのクルマではない……、ということなのであろう。
それでも落札した張本人は、きっとご満悦。そしてオークション会場では、満面の笑みを浮かべていたであろうこともまた、容易に予想がつくのだが……。


























































