RMサザビーズに登場した、2万2000km台の308GTSとは
日本においては、クーペ(ベルリネッタ)の308GTBと比較すると、やや人気が及ばなかった308GTS。しかしクラシックとしての価値が認められるようになって久しい現在、それはどのような評価を受けているのだろうか。
その答えを垣間見ることができたのが、RMサザビーズによる「シフト・オンライン・ノースアメリカ」と題されたオークションであった。ここに、1万3776マイル(約2万2042km)という走行距離の1978年式308GTSが出品されたのである。
コンディション維持の鍵は継続的な整備履歴
10万ドル〜12万5000ドル(邦貨換算で約1477万〜1846万円)の予想落札価格が提示されたこの個体は、アメリカ・サウスカロライナ州グリーンズボロのフェラーリ・ディーラー「フォーリン・カーズ・イタリア」を通じて新車販売された個体。ボディカラーは「ジャッロ・フライ」と呼ばれる鮮やかなイエローで、インテリアはダークブラウンのレザーがあしらわれていた。
現在のフェラーリと比べればはるかにスパルタンな印象ではあるが、そこにこそクラシック・フェラーリらしい魅力が漂う。装備内容も充実しており、エアコン、パワーウインドウ、オーディオのほか、ツールキットやジャッキ、オーナーズマニュアルまでが完備されていた。
定期的なメンテナンスが滞りなく行われてきたことも、この個体の大きな魅力のひとつである。1990年まで遡ることができるサービス記録が残されており、直近では2021年にタイミングベルトとクラッチ、ウォーターポンプ、エグゾーストシステム、タイヤの交換が行われていた。
さらに2022年にはクーラント・タンクの交換も実施され、その際にはヨーロッパ仕様の前後バンパーも装着されている。新車デリバリーから47年が経過しているとは思えないほど、この個体は良好な状態を維持している。
いまこそ再評価されるべきフェラーリ308GTS
フェラーリが生産した308GTSは、トータルで3219台。後継車としてはフューエル・インジェクションを採用した308GTSiが存在するが、255psの最高出力を誇ったキャブレター仕様の308GTSは、より魅力的な走りを体現していたともいえる。
今回のオークションでは、残念ながら最低落札価格には達せず落札には至らなかったものの、フェラーリ車のなかでもっともポピュラーなクラシックモデルのひとつとして、308GTSへの注目は今後も高まる一方だろう。
これがクーペボディーの308GTBであったならば、あるいはヨーロッパ仕様であったならば……今回のオークションに集まる視線は、さらに熱を帯びていたかもしれない。
いまもなお、フェラーリ308シリーズは、多くのフェラーリスタにとって特別な存在であり続けているのだ。




























































































































