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顔はフィアットパンダで身体はトールな商用バン!?じつはスペイン製のOEM車

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

セアト・パンダ・トランスに乗るパンダリーノの主催者

じつはこのトランスのオーナーは、毎回300台近いフィアット・パンダが集まる日本国内最大のパンダ祭り「パンダリーノ(Pandalino)」の主催者。国内パンダ界隈では有名なYUKIさんの愛車だったのだ。さっそくご本人を探し出してインタビューした。

YUKIさんは、ECVTを搭載した「パンダ セレクタ」を31年前に新車で購入(現在も愛用中)して以来、パンダひと筋の熱心な愛好家。偶然にも「チッタ ミラマーレ」主催者であるチンクエチェント博物館の代表、伊藤精郎氏が1990年代初頭に4台のみ並行輸入したというセアト版のトランスを某イタリア車イベントで見かけ、その時から30年以上にわたって気になる存在だった。

いっぽう、彼が2008年に立ち上げた「パンダリーノ」は年々順調に成長し、それにしたがってYUKIさん自ら会場に運ぶ資材も多くなっていった。そこで2代目「ムルティプラ」を入手はしたものの、ミニバンでは運べる荷物の量も限られるうえに、やはり「パンダ」にこだわりたいという理由から、パンダのバンモデルを所有したいという想いを募らせていく。

そんな折、すでに日本では2台くらい(?)まで減少していたというセアト トランスの1台と2019年に京都で運命の再会。当時のオーナーさんとSNSで繋がり、ついに2022年に手に入れることができたというのだ。

入手した段階で、歴代オーナーの誰かが換装したアウトビアンキ「A112アバルト」用エンジンを搭載していたおかげで、関西在住のYUKIさんが静岡のパンダリーノ会場に通うのもラクラク。また、スペインのクラブに連絡してゲットしたルーフラックも設置して、もともと潤沢な荷物の収納容量がさらに増えたとのことである。

そして長年の念願かなって手に入れたこのクルマをこれからも乗り続け、長く維持していきたいと語ってくれた。

ところでこのクルマ、前述のとおり本来は「セアト トランス」名で販売されていたそうだが、「パンダリーノ」主催者であるYUKIさんが「パンダ」名以外のクルマでイベントに赴くのも……という理由で、セアト製「Panda」のバッヂも追加。あえて「セアト パンダ トランス」と呼ぶことにしたとのことである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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