悪路が得意なJEEPは卒業!史上初のマイルドHVの燃費は良好
モータージャーナリスト斎藤慎輔が2025年7月から発売を開始したJEEP「Renegade Altitude e-Hybrid(レネゲード・アルティチュード・ハイブリッド)」の約1000km試乗をしました。JEEP初のマイルドハイブリッドを高速道路だけでなく一般道、ワインディングロードなどさまざまな道を走って感じた印象をリポートします。
ステランティス傘下でイタリアにさまざまな兄弟車が存在するJEEPレネゲード
ジープ「レネゲード」が発売された2015年当時、プラットフォーム、パワートレーン系、基本ボディワーク(骨格)までがフィアット500Xと共用と知り「イタリアブランドとアメリカブランドの中身が一緒とはねぇ」と思わされたもの。これはフィアットがジープブランドも持つクライスラーへの資本参加形態から2014年の買収に至るまでに、開発から生産拠点、サプライヤーまで、シナジー効果をもたらす施策を進めてきた結果だった。
フィアットを軸としたFCA(フィアット・クライスラー・オートモーティブ)は、2019年にはフランスのプジョーやシトロエン、DSブランドを抱えるグループPSAと経営統合、2021年に正式に対等合併し、マセラティやオペルなどを含め計14ブランドを抱えるこの合併会社が現在のステランティスだ。
レネゲードは、ジープ初のコンパクトサイズSUVだったが、こうした紆余曲折の10年の間もモデルチェンジすることなく貫かれてきた息の長い1台である。
日本でもその手頃なサイズ感や当初は300万円を切る価格のモデルもあったことなどもあり、2025年3月までに累計2万7000台以上を販売してきたそうだ。昨今の話題からすれば、なんだアメリカ車もちゃんと売れているじゃないかとなりそうだが、日本向けのレネゲードはイタリアで生産されているので、北米からの輸入扱いにはならない。

都市型SUVとしてEV走行モードスイッチを装備
このレネゲードにジープ初のマイルドハイブリッドモデルとなるアルティチュードe-Hyburid(車両本体価格544万円)が7月に発売された。パワートレーンは最高出力131psの1.5L4気筒直噴ターボ+7速DCTに最高出力20psのモーターを内蔵した48Vマイルドハイブリッドによる前輪駆動仕様のみ。これを機に1.3Lターボエンジン搭載車もPHEVの4Xeも消滅。このためだろうか、グレード名やハイブリッドを示すエンブレムは一切なく、さらにはドアハンドルやドアミラーもボデイ同色からブラックに変更されるなど、レネゲードとしては最新仕様でありながら、地味な印象をもたらすようにも思える。
ちなみに、このパワートレーンは、2023年に日本に導入されたアルファロメオ・トナーレのマイルドハイブリッドモデルと基本は共通で、モーター出力、トルクは同一。しかしエンジンはトナーレ用が160psの高出力版に対して、レネゲードはジープとしての走行特性を重視してか、最高出力は131psでその発生回転数は抑えた設定となる。しかし車重はトナーレの1630kgに対してレネゲードは1470kg(試乗車はサンルーフ付きのため1500kg)と130~160kgも軽いので、動力性能面での差異は小さく、燃費では有利となりそうだ。

以前のレネゲードには設定されていたトレイルホークという悪路走破性を重視した4WDモデルなどと異なり、現行モデルのe-Hybridは都市型SUVともいうべき車種となり、エコやスポーツモードのみならず、滑りやすい路面での発進性や脱出性を重視する駆動制御を行う走行モードスイッチは備えていない。ジープの名を持つクルマなのに意外な思いも抱かせる。しかし唯一、駆動用バッテリーをセーブするためのモードとして「e Auto off」スイッチがあり、深夜早朝など住宅街を静かにEV走行にしたいときに良いだろう。





























































