なんとアイルトン・セナがシリーズ優勝したマシンで参戦した!?
ヴァンディーメンで登竜門レースを勝ち上がり、F1に上り詰めたドライバーは数多くいる。ロベルト・モレノ、ラウル・ボーゼル、ジョナサン・パーマーなどがいるが、なんといってもF1でチャンピオンに上り詰めたアイルトン・セナを忘れるわけにはいかない。セナは1981年のヨーロッパにおけるデビューシーズンで、ヴァンディーメンに乗り、BRSCCとRACのフォーミュラ・フォード1600でチャンピオンを獲得。翌1982年にはイギリスおよびヨーロッパのフォーミュラ・フォード2000選手権のチャンピオンに輝いている。とくにイギリスのフォーミュラ・フォード2000では17レース中15レースで勝利したというから、圧倒的な勝ち方であった。
そのときに乗っていたマシンがヴァンディーメンRF82だったのである。K氏曰く、マシンを貸し与えるにあたり「絶対に壊すな」が条件であった。それは私が乗ったマシンは、まさにアイルトン・セナがドライブしたマシンだったからである。もちろんシャシーナンバーを確認していないので真偽のほどは不明だが、でもそんなマシンに乗れたことはじつに光栄なことであった。
筑波のレースは2回出場して、2回とも大雨だった。どちらも完全なウェットコンディションでのレースだった。練習走行などではそれなりにドライで走ったものの、本番はとにかくほとんど前が見えない状況。初めてフォーミュラカーの雨のレースで後ろにつくと、いかに前が見えないかを痛切に体験した。
視界ゼロのなかでのスピンとガードレール寸止め
バトルも体験した。相手は現在同業者のMさんで、あちらはたしかマーチだったかのF3。だから当然、ストレートでは離されてしまうのだけれど、コーナーで詰めてあと一歩というところまでいった。だが、ちょうど5番ポスト付近、ダンロップゲートをくぐった先で見事にスピンして、抜くまでには至らなかった。そのスピンも果たして何回転したかわからないほどくるくる回り、最後はガードレールまでほんの数十センチで止まってくれた。「絶対に壊すな」が頭をよぎり、冷や汗をかいたものである。
今もフォーミュラの研ぎ澄まされた走りが忘れられない。さすがにこの歳になるとフォーミュラでレースをしようとは思わないが、流す程度ならもう1度走ってみたいと思う今日この頃である。
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