ブレンボ製ブレーキを装着する3分の2サイズのコブラ
今回のオークション出品車である「Cobra」をはじめ、いずれのハリントン製ジュニアカーも、専用ジグで組んだパウダーコート済みのスチール製ラダーフレームに、補強を兼ねたコンポジット樹脂のフロアパンを組み合わせる。
また、前後とも独立式のサスペンション、アルミニウム製のフロントハブ、ラック&ピニオン式のステアリング、スチール製リアドライブシャフト/リアハブ、そしてブレンボ製ブレーキが奢られるなど、走行を意識した本格的な構成となっている。
パワーユニットは、オリジナルのACコブラと同じくフロントに設置され、後輪を駆動する排気量150ccの空冷4ストローク単気筒ガソリンエンジンである。スタンダードチューンでは最高速度40mph(約64km/h)を実現するが、子どもの搭乗時にはスピードを制限するリストリクターを装着することも可能だ。
グラスファイバー製のボディはACコブラをスケールダウンしたもので、コブラの象徴である「ガーズマンブルー」風のブルーメタリックに、2本の極太ストライプが入るのも、昔ながらの定番アイテムである。
ただし、前後フェンダーの抑揚は控えめで、アーチにオーバーフェンダーがモールドされていることから、迫力たっぷりの「コブラ427」ではなく、スリークな初期モデルの「コブラ289(あるいは最初期の260)」を模したデザインであると推察される。さらに、細めのホイール/タイヤと格子の入ったグリルを合わせると、ACコブラの前身である「ACエース」のように見えなくもない。つまりは、コブラ全体のイメージを縮小したものということである。
コブラの落札価格はデイトナのジュニアカーより1万ドル以上も安かった
RMサザビーズ北米本社は、今回のオークション出品に際して、同時出品されたジュニアカー「Daytona」と同額の2万ドルから3万ドル(邦貨換算約296万円〜444万円)というエスティメートを設定した。そのうえで現オーナーとの協議の結果「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」での出品となった。
この「リザーヴなし」という競売形態は、価格の多寡を問わず落札されることから、対面型オークションでは会場の雰囲気が盛り上がり、入札が跳ね上がる傾向がある。しかしその反面、たとえ価格が出品者側の希望に到達しなかったとしても、強制的に落札されてしまうというリスクもついてまわる。
そして迎えた8月15日のオークション当日。競売ではジリジリと入札が進み、最終的にはエスティメートの範囲内に到達する2万1000ドル(現在の為替レートで日本円に換算すれば約310万円)で競売人のハンマーが鳴らされた。
蛇足ながら、前述のとおり「Monterey 2025」セールに同時出品されていた「ハリントン・デイトナ」は、このコブラよりも遥かに高額な3万2400ドルで落札されている。この価格差の理由がどこにあるかは不明ながら、コブラらしい迫力にはちょっと欠けるスタイリングが影響した可能性は否定できないだろう。











































