クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CLASSIC
  • フルレストアを施してない1967年式フェラーリ「275GTB/4」!奇跡の保管状態もあって約5億円で落札
CLASSIC
share:
フルレストアを施してない1967年式フェラーリ「275GTB/4」!奇跡の保管状態もあって約5億円で落札

フルレストアを施してない1967年式フェラーリ「275GTB/4」!奇跡の保管状態もあって約5億円で落札

投稿日:

TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

数々のコンクールで高い評価をされた極上コンディション

ペサトゥーロ氏は小規模修復とコンクール出品の後、この美しいフェラーリを静態保存状態へと戻した。シャシー部品への負荷を避けるためブロック上に載せ、10年以上にわたって空調管理されたガレージで保管することにした。

しかし2011年になると、この275GTB/4はカリフォルニア州アサートン在住のフィル・ホワイト氏に売却された。同年にはモントレー半島カーメル・バイ・ザ・シーの「コンクール・オン・ザ・アベニュー」、「ダンビル・コンクール・デレガンス」、「ヒルズボロ・コンクール・デレガンス」など、複数の地元カーショーに出展されることになる。

2011年11月、この275GTB/4には「フェラーリ・クラシケ」のレッドブックと対応する正統証明書が発行された。エンジンおよびギアボックスとトランスアクスル、ボディワークがすべてマッチングナンバーであることが認証され、車両の高いオリジナル性がさらに裏付けられた。翌年、このベルリネッタは2012年「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」のプリザーヴド(ノンレストア)部門で高い評価を得た。

2013年、このフェラーリはカリフォルニア州ポートラバレー在住の愛好家が入手し、同年8月には「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」に出展された。オリジナルの「MI(ミラノ)」ナンバープレートに至るまで驚異的な保存状態で、観衆を再び圧倒することになった。

現在、公式オークションカタログ作成時の走行距離計は2万950kmを示しており、過去45年間でわずか2950kmしか走行していないことを示唆している。この走行距離は、現存するフェラーリ275GTB/4でもっとも少ない走行距離を記録した実例のひとつと見込まれている。

オーナーズマニュアルや純正ツールロール、トランク内の純正スペアタイヤを完備したこの驚くほどオリジナルな状態を保ち、完全修復されたことのない275GTB/4は、あらゆるティフォーゾ(フェラーリ愛好家)が羨むほどの類まれな純粋さを示している。

今回のオークション出品に際してRMサザビーズ北米本社は

「ロングノーズ/トルクチューブ/4カムという275GTBプラットフォームの最高峰構成を完璧に体現しているシャシーNo.09931は、この重要なモデルのもっともオリジナルな個体を求めるフェラーリコレクターにもとくに適した1台。最高峰の跳ね馬コレクションを、さらに格上げする存在となるでしょう」

と華々しく謳いあげるとともに、350万ドルから400万ドル(邦貨換算約5億1800万円〜5億9200万円)という、いかにも自信ありげなエスティメート(推定落札価格)を設定した。

そして迎えた8月16日のオークション当日。モントレー市内の大型コンベンションセンターと隣接するホテルにも会場を広げて挙行された対面型競売ではエスティメートに届く350万ドルで落札された。現在の為替レートで日本円に換算すれば約5億1800万円という驚きの高価格で競売人のハンマーが鳴らされることとなった。

123
すべて表示
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
著者一覧 >

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS