ミントコンディションのE55 AMGの真価
オークションハウスのブロードアロー・オークションは2025年8月、アメリカで開催された「モントレー・ジェット・センター・オークション」に、走行わずか1620kmという奇跡的なコンディションを保つ1999年式のメルセデス・ベンツ「E55 AMG」が出品されました。注目するべき点は、25年間ワンオーナーで大切に保管されてきたこと。車両のあらましとオークション結果をお伝えします。
E50からE55へ!W210型AMGモデルの変遷
E55 AMGのベースとなるW210型Eクラスは、それまでのW124型Eクラスの後継車として1995年に発売されたモデルだ。翌1996年には、AMGの製作による高性能版「E50 AMG」がラインナップに加わった。E50 AMGは、4.9LのV型8気筒エンジンを搭載し、347psの最高出力を得ている(これに前後して、5.9L仕様のE60 AMGや6.2L仕様のE60 AMG 6.3といった、さらにスパルタンで高価なモデルも登場した)。
このE50 AMGは、1997年になると早くもE55 AMGへと進化する。排気量を5.4Lにまで拡大することで、E55 AMGは354psの最高出力を得た。このE55 AMGは、W210型Eクラスの生産が終了する2002年までデリバリーが続けられた。
W210型Eクラスは1999年に大幅なマイナーチェンジが実施された。今回「モントレー・ジェット・センター・オークション」に出品されたE55 AMGは、そのマイナーチェンジを受ける前の前期型にあたる。
25年間ワンオーナー 驚異の走行1012マイル
フロントバンパーのサイドに角型のマーカーを備えることから、出品車はアメリカ仕様として生産されたモデルだとわかる。ブロードアロー・オークションズによれば、1999年から2024年までひとりのオーナーによって所有されてきた。
さらに驚かされるのはその走行距離だ。オドメーターにはわずか1012マイル(約1620km)という数字が刻まれているのみである。これほどの低走行車は、E55 AMGに限らず現存するW210型Eクラスでもほかでは見つけることはほぼ不可能だ。
この走行距離が物語るように、出品車はきわめて良好なコンディションを保っていた。メルセデス・ベンツの象徴的なカラーであるブリリアント・シルバーにペイントされたボディはもちろんのこと、ブラックレザーとウッドパネルが採用された室内にも使用感というものは一切ない。
E55とAMGのエンブレムが描かれた純正のフロアマット、取扱説明書を始めとするすべての付属品、そして新車時からのドキュメントが残されているのも、今回のオークションでは大きなセールスポイントとなった。
予想を下回る落札価格 ネオ・クラシックE55 AMGの価値
この1999年式メルセデス・ベンツ・E55 AMGにはどれほどの価値があるのだろうか。ブロードアロー・オークションズは、7万5000ドル~10万ドル(邦貨換算約1104万円~1470万円)というエスティメートを提示した。
しかし、その落札価格は大方の予想に反して6万4400ドル(邦貨換算約948万円)を記録するに留まった。W210型EクラスのスポーツモデルであるE55 AMGは、今もなおネオ・クラシックのエンスージアストからは熱く注目される存在だ。誕生から四半世紀以上を経た現在においても、その刺激的な走りが変わることはない。














































































































































