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23億円投入!小野測器第3の開発施設は“次世代モビリティ開発拠点”

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)

  • 小野測器の新事業所「中部リンケージコモンズ」の建設予定地での地鎮祭を開催
  • モビリティの未来を共に創造する開かれた場所とするとしており、技術と人が集まり、訪れるだけで未来にワクワクするような開かれた事業所を目指すとしている
  • CLCの実験棟にはクルマごと入れることができるNC-30相当の静かな大型半無響室と、路面状況を再現するRCS(リアルカーシミュレーションベンチ)を組み合わせることができる実験室が用意される
  • この事業は、2025 年 3 月に愛知県豊田市の「豊田市企業立地奨励事業者(産業の多角化および高度化を目指し、製造業等の企業が工場や研究所などを建設する場合に奨励金を交付して企業立地を支援する制度)」に指定されている
  • 東京大学と連携し共同研究で得た世界最高峰の制御技術を導入した試験設備により次世代モビリティの開発に貢献することになる
  • 1954年創業の小野測器は電子計測機器の製造、販売、各種エンジニアリングサービス事業を展開している。自動車業界では二輪・四輪車および部品の研究開発のサポートから製造工程での測定技術を提供している
  • 2020年に取得した愛知県豊田市の事業用地が、今回のCLCの建設予定地となった
  • メディア向け説明会に出席した(左から)東京大学大学院 新領域創成科学研究科の永井栄寿特任講師、小野測器の大越祐史代表取締役社長塚越 照取締役兼上席執行役員

小野測器が愛知県に新たに技術開発と交流の場を建設

電気計測や音・振動の分野で知られる小野測器が、愛知県に新たな技術開発拠点「中部リンケージコモンズ(CLC)」の建設を進めています。自動車開発の最前線を見据えた設備に加え、人と技術が交わる“場”としての役割も担います。地鎮祭と同時に行われた取材会では、その狙いや将来像が語られました。次世代モビリティを支える拠点について紹介します。

横浜・宇都宮に続く第3の技術開発拠点として誕生

2027年9月に稼働予定の中部リンケージコモンズ(CLC)は、小野測器にとって神奈川県・横浜、栃木県・宇都宮に続く3カ所目の技術開発拠点となる。施設は鉄骨2階建ての本館と、平屋建ての実験棟で構成。本館は、現在豊田市にある中部営業所を移転・集約するだけでなく、共創パートナーが集うカフェエリアも設置される。

実験棟は「ATLab.c1」と名付けられ、計測室やプロジェクトルームに加え、車両整備場、充電ステーション、そして騒音レベルNC-30相当の車両ごと搬入可能な大型半無響室と、台上試験において路面状況を再現する「RC-S(リアルカーシミュレーションベンチ)」を組み合わせた最新のNV(ノイズ・バイブレーション)実験室を備える。敷地面積は4534.51平方メートル、建設費は総額23億円となる。

東京大学との共同研究で培ったEV振動制御技術を実装

実験棟に導入される自動車用試験設備には、東京大学大学院新領域創成科学研究科と共同で開設している「電気自動車の振動計測制御に関する社会連携講座」で得た、高度な制御技術を実装する予定という。

この社会連携講座は2022年10月に第1期目を開講し、オンボードモータ車やインホイールモータ車の振動計測制御技術を、小野測器の音・振動の計測技術や自動車用の低慣性ダイナモ台上試験装置を活用して研究開発してきた。そして2026年4月からは、その第2期目を開講予定だ。

同社はCLCを「成長し続ける事業所」とすることを目指している。2027年秋の稼働後、本館や実験棟とは別に「共創ヴィレッジ」と名付けたユニットハウス形式の施設を新設し、パートナーが広く交流できる場を設ける。オープンイノベーションを推進するコミュニティの形成を図るとしている。

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  • 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)
  • 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)
  • 1969年生まれ。美術大学で日本画を学んだ後に、編集プロダクション数社を経てフリーランスライター&フォトグラファーに。編集者時代にかかわってきたモータースポーツ取材を続け、現在も2輪4輪問わず国内外のサーキットやラリーシーンを取材している。日本モータースポーツ記者会会員。
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