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ミニで軍用車を開発!? チューニングを施す希少な英国製「ミニ モーク」が約480万円で落札

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

希少なイギリス本国生産のミニ モークだったが

このほどRMサザビーズ「LONDON 2025」オークションに出品されたオースティン ミニ モークは、1968年9月11日に製造された希少な英国製だ。スノーベリーホワイトのボディカラーでBMCカウリー工場の生産ラインからオフし、同年9月30日にロンドンの販売店「カー・マート・セールズ」社へ出荷された。ただ、当初はイングランド国内で新車販売されたものの、比較的早い時期に国外へと輸出されたのち、1978年に再び英国の地を踏んだものと推定されているようだ。

いずれかの段階でボディを赤へと塗り替えられたこのモークは、記録上の請求書によれば2000年と2004年に2度の所有者変更を経験したあと、2010年に今回のオークション出品者でもある、現オーナーが入手することになる。

そして彼によるレストアが行われ、現在も残されている印象的な「ガルフ・モータースポーツ」スタイル、すなわち「パウダーブルー」のボディに「マリゴールド」のストライプの入ったカラーリングが施された。

また2019年には、ケント州セント・マイケルズで60年の歴史を誇るクラシック・ミニのスペシャリスト「スウィフチューン・エンジニアリング(Swiftune Engineering)」社へと送られ、同社製1330ccの4気筒エンジンを搭載。ギヤボックスも、格段に向上したパワーに合わせて再構築される。

さらにミニ一族の象徴であるサスペンションのラバーコーン、「GAZ」社製ショックアブソーバー、調整式のタイロッドバー、「ステージ2」エキゾーストマニホールド+「マニフロー」社製エキゾーストシステムが新たに装着された。

この時のレストアおよびモディファイについては、総額約1万5000ポンドにおよぶ請求書の写しで確認が可能。また、主にBMC系クラシックモデルの来歴を示す「BMIHT(British Motor Industry Heritage Trust)ヘリテージ証明書」や、過去の「MoT車検証」もコピーが添付されていた。

RMサザビーズ英国本社では

「イシゴニスの不朽のアイコンのなかでも生産台数が限られたバリエーションのひとつであるこのオースティン ミニ モークは、開放的な道路や海辺でのドライブに最適。目を引くカラーリングは、必ずや周囲の注目と笑顔を集めることでしょう」

というPRフレーズを添えて、3万〜4万英ポンド(邦貨換算約609万円〜812万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。

そして迎えた11月1日のオークション当日だが、売り手側にとっては残念なことにビッド(入札)があまり伸びず、またリザーヴ(最低落札価格)も設定していなかったことから、エスティメート下限には届かず2万3000英ポンド、日本円に換算すると約480万円で落札されることになった。

現在の国際マーケットにおいては、オーストラリア製の「モーク カリフォルニアン」や通称「カジバ モーク」と比べると、BMCがイギリス国内で生産した元祖ミニ・モークは、かなり高めの相場価格が維持されている。今回設定されたエスティメートもその相場感に準拠したうえで、さらにチューニング費用も考慮したものと推測される。

しかし、すでにコレクターズアイテムとなっているミニ モークでは、やはりオリジナリティが重要視されるフェーズに入っているのか、改造に要した分の費用が加算されることのない、スタンダードのオースティン ミニ モークに近い評価が下されたようである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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