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2000年WRCサンレモラリー優勝車発見! フィアット「プントS1600」サラッと展示のナゼ!?

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TEXT: 近藤浩之(KONDO Hiroyuki)  PHOTO: 近藤浩之(KONDO Hiroyuki)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

サソリの毒が注入され1.6LNAで215馬力!
アバルト魂宿る「ワイドボディ」が大迫力!!

名門アバルトが持てる技術をすべて注ぎ込んだこのマシンには、SE(speciale esecuzione:特別仕様)コード「SE081」が付けられている。まさに戦うためのサラブレッドだ。ベースエンジンは、市販モデル「プントHGT」は1.8L DOHCエンジンだが、2001年から始まるS1600クラスのレギュレーションに合わせ、ショートストロークのクランクシャフトやピストンを採用し、そのクラスの規定に合致させるために排気量を1579ccへとダウンサイジングした。

緻密に組み上げられたエンジンから絞り出されるパワーは、マニエッティ・マレリ製エンジン制御コンピューター(ECU)によって1600ccの自然吸気エンジンながら215馬力(!)を発揮する。ボディ側も、プントHGTをベースにしつつ、車輪幅のワイドトレッド化を図り左右で122mm拡大した。さらにエンジンフードやドアをアルミ製とすることで徹底的な軽量化が図られている。

サスペンションにはビルシュタイン&アイバッハをセット。リアサスペンションに至っては、構造をトレーリングアーム&ラジアスアームの独立懸架式へと変更している。一見すると市販車の面影を残しているものの、中身はまったく別物の「モンスターマシン」へと変貌を遂げているのだ。

サラッとWRC勝利マシンのモノホンを展示
大阪オートメッセの奥深さと可能性に昂る!!

驚くべきは、出自とコンディションだ。展示車両は、かつて日本のチンクエチェント博物館の所有車だったが、巡り巡って現在のオーナーの手に渡ったという。大阪府和泉市「ピアレス」が持ち込み、メンテナンスは「PXエンジニアリング」の手で、エンジン、ギヤボックス、サスペンションなどラリー参戦した時のように完璧にリビルトされている。今回、会場まで自走で搬入したピアレスの担当者はこう語る。

「ナンバーマッチングの車両で来歴も間違いないので、たとえばこれからFIAクラシックカーラリーに出たいという方であれば、HTP(ヒストリック・テクニカル・パスポート=歴史的車両技術証明書)も簡単に取得できます。実際に走らせてみると、ハンドリングもクイックでエンジンもむちゃくちゃ速かったですね。ただ、ヒューランド製競技用シーケンシャル変速機なので作動音がかなり室内に響きます。競技車両なので内装も防音材もありませんから、耳栓をしてヘルメットを被って乗るクルマかもしれません。今の時点では走行に問題ありませんが、レースに出るなら燃料タンク内ブラダーバッグ(燃料用安全タンクのインナーバッグ)は期限があるので交換したほうがいいかもしれませんね」

取材時点でオーナーは売却も考えており価格は応談としているが、1000万円以上は確実なところだろう。イタリアの宝を活かしてくれるオーナーがいれば、ぜひ受け継いでほしいという。伝説の勝利を刻んだサソリの毒をもつマシンを、うなされながら毎晩、自分のガレージで見ることができ、走っては毒の刺激を味わうことも可能だ。

一方、大阪オートメッセという華やかな舞台の片隅で、WRCファンやイタリア車の熱狂的なファンを唸らせたこの「激アツ」な出会いは、あらためて大阪オートメッセの奥深さと可能性を感じさせてくれる展示であった。

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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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