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マグナス・ウォーカーの初愛車を再現したポルシェ 911がオークションに登場! 手放した未完のプロジェクトには「とんでもない出費!?」

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2026 Courtesy of RM Sotheby's  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

935の迫力を纏いRSの魂を宿した、マグナス・ウォーカー秘蔵の1974年式「スラントノーズ」カスタム

1974年、ポルシェは発表から10年を迎えていた911を大幅に改良し、衝突時の保護性能を高めた新しいバンパーを採用するとともに、モデル誕生当初からのクラシックなシルエットから、のちに1980年代の象徴的なデザインとなるスタイルへと外観を一新した。これがナローボディから、930のビッグバンパーへの大変革期となる。

とはいえ、このほどRMサザビーズ「Magnus Walker:The Outlaw Collection」オークションに出品された、ウォーカー所有の1974年式ポルシェ 911 カレラ2.7には、こうした変更点は一切見られない。この車両は1980年代に、「アメリカン レーシング インターナショナル(A.I.R.)」製の、ポルシェ 935レーシングカーをモチーフにしたファイバーグラス製ワイドボディキットで改造されているからだ。

ポルシェは1974年モデルの911の高性能モデルとして、名高い「ナナサン」カレラRSから引き継いだボッシュ製メカニカル燃料噴射システムを搭載した強力なカレラ2.7「MFI」エンジンを用意していたが、すでに排気ガス対策の法令化が予期されていた米国マーケットでは正規導入されることなく終わった。

その代わりに、この「フラットノーズ」ワイドボディへのコンバージョンに採用された車両を含む米国市場向けのポルシェ 911 カレラ2.7には、同時代の911Sから流用された出力の低い水平対向6気筒エンジンが搭載されていた。

このスタンダードな911用エンジンは、より新しく排出ガス規制に適合したボッシュ製Kジェトロニック(通称「連続噴射システム」)を採用しており、そのためポルシェの専門家からは「CIS」モデルとして知られている。

しかし、1980年代にこのポルシェ 911 カレラ2.7クーペがA.I.R.のボディキットを装着した際、エンジンは1973年式ポルシェ 911E 2.4のクランクケースを使用した、カレラRS 2.7 MFI仕様に基づく高出力ユニットに交換されていた。

思い出のスラントノーズに重なる1974年式911は、マグナス・ウォーカーも恐れた改造の沼を前に期待を下回る価格!?

自身が初めて購入したポルシェに外観が似ているこの改造車に郷愁を掻き立てられたことから、ウォーカーは約6年前に購入することにした。しかし、本人が語っているように、その所有のもとではおおむねコレクションの一品として扱われ、ガレージの片隅で静かに眠っていたようだ。

RMサザビーズ北米本社は「この911は次期オーナーに多くの選択肢を提供しており、レストモッドのキャンバスとして活用することも、ターボ付きエンジンや強化されたシャシーコンポーネントを備えた、935風のレースチューンの道を歩み続けることも可能です」と提言したうえで、7万5000ドルから10万ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定した。さらに「Offered Without Reserve」、つまり最低落札価格は設定しなかった。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むことも期待できる。ただしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札されてしまうリスクもついてまわる。

そして、実際のオンライン競売ではリスクのほうが発露してしまったのか、丸1週間の入札期間を経ても価格は伸びず、結局エスティメート下限を大きく割り込む5万600ドル。現在のレートで日本円に換算すると約810万円という、売り手サイドにとってはいささか残念で、買い手サイドにとってはお買い得ともいえる価格で落札となった。

あとは今回このポルシェ 911を手に入れた落札者が、伝説の男マグナス・ウォーカーも果たし得なかった真の「アウトロー化」を図るのか否か。彼が恐れた“チューニングの沼”の先にある景色を、ぜひとも見てみたいものである。

※為替レートは1ドル=約160円(2026年4月時点)で換算

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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