ワークスパーツで蘇る1974年仕様「ブルモスRSR」のクローン車両が辿った、もう一つの栄光の物語
キューバ生まれのレーシングドライバーであるディエゴ フェブレスは、ピーター グレッグと親密な関係にあり、キューバを追放された後はプエルトリコの国旗を背負って長年レースを続けた。ブルモスワークスのマシンを駆る彼は、1977年のセブリング12時間レースで総合2位、1978年のデイトナ24時間レースではGTOクラスでクラス優勝を遂げた。ちなみにこのレースでは、ピーター グレッグが総合優勝を飾っている。
2002年、そんなフェブレスの集大成として、彼自身がドライブしたRSRのクローンを制作することになる。1975年式「ポルシェ 911S」をベースに、彼がIMSAでドライブしたブルモス ポルシェを再現したのだ。制作にあたっては、フェブレス自身が収集したツッフェンハウゼンのポルシェワークスで開発された純正パーツが惜しみなく使われ、1974年仕様のプライベーター仕様RSRへと仕立て上げられている。
完成後、彼自身のドライブによって、プエルトリコで開催された「トレス オラス デ サリナス」でクラス優勝を果たし、その後も3つのローカルレースに参戦している。2005年にこのクルマでセブリング インターナショナル レースウェイのHSR耐久レースに出場した後、グンナー レーシングのケヴィン ジャネットへと売却した。そして2008年から2016年にかけて、グンナーのエンジニアによって完璧なレストレーションが施されている。
ポルシェのワークスパーツで究極のRSR復活。4200万円超で落札された「ブルモス」の血統を継ぐレジェンドマシンの価値
それは1975年仕様のファクトリースペックのRSRに戻すことで、エンジンはグンナー レーシングによって仕上げられた機械式スライドインジェクション仕様の3.2Lに改められた。トランスミッションは、これもグンナー レーシングが仕上げた新しい915タイプを装備する。アクスルやCVジョイントは新品に交換。ブレーキやリアサスペンションなども、すべて新品に交換もしくはフルレストアされた。レストア後はモントレー ヒストリック レースや、デイトナのロレックス24ヘリテージ エキシビションなどにも出場している。
そして再びブルモスカラーに戻されて、現在に至っている。シャシーナンバーは「9115200175」。このナンバー自体は大きな意味を持たないが、使われているパーツなどはすべてワークスポルシェのそれであり、1970年代のブルモス ポルシェが完璧に再現されているのだ。オークションにおける予想落札価格は25万から35万ドル(邦貨換算約3950万円から5530万円)だという。実際には26万5000ドル(邦貨換算約4187万円)で落札された。
オリジナルのワークスマシンではないものの、当時を知るレジェンドドライバーの手で組まれ、名門ファクトリーの手で究極のレストアを受けたこのRSRトリビュート。その凄まじいヒストリーを知れば、約4214万円という落札価格も決して高すぎることはないだろう。スロットカーのコースを飛び出し、本物のサーキットで再びそのエキゾーストノートを轟かせてほしい1台である。
※為替レートは1ドル=約158円(2026年4月27日時点)で換算





















































































