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総剥離再塗装に新品エンジン搭載でも139万円に終わった初代フィアット「パンダ」希少限定車ビアンカの落札価格

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Iconicauctioneers  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

総剥離の再塗装と純正新品エンジンでよみがえった希少な限定車

ところでフィアットでは現在においても、ボディカラーやインテリアの仕立てなどで特別感を演出した限定車をセールスの起爆剤とするのが常道のようだが、記憶をたどってみると、この方法論が確立したのはスーペルノヴァ世代の初代パンダの時代のことだった。

ただし、もとより後世に残りにくい大衆車の特質に加えて、当初から希少性を売りにして販売された限定パンダたちは、40年近い時を経た現在では日本国内はもちろん欧州の路上で見かけることすらまれになっているとのことである。

2026年3月、アイコニック オークショネア主催のオークションに出品されたフィアットパンダは、1987年に生産されたスーペルノヴァ時代の1000CLだ。英国マーケットに向けて少数が生産および販売された限定バージョンの純白仕様「ビアンカ」である。

公式オークションカタログ作成時点での走行距離は5万7760マイル(約9万2400km)と年式のわりには少ないうえに、内外装には大規模なレストア作業と機関部のリニューアルが施されており、非常に良好なコンディションを保っている。

このレストアにあたっては、ボディを総剥離したのちにビアンカ純正カラーのホワイトで再塗装が行われた。そののち、専門業者によるコーティング処理も施されている。また、ルーフには前後2つのオープン&フォールドバック式のサンルーフを装備した、日本仕様でいうところの「ダブルサンルーフ」となる。そしてこの特別仕様車を際立たせる、ビアンカ特有のディテールと魅力を保っている。

一方のシンプルなインテリアは、シートとドアやリアサイドのインナーパネル、ダッシュボードにグレーのチェック柄ファブリックをリニューアルし、黒ビニールレザーで仕上げられたそのほかのトリムもクリーニングないしは交換が施されているという。

さらには徹底的なオーバーホールの過程で、イタリアから新品の純正エンジンを購入したことを証明するインボイスも添付されている。リアアクスルの「Ωビーム」やステアリングラック、ドライブシャフト、ホイールハブなども新品に交換された。

レストア済み個体としてはリーズナブルといえる約139万円で落札

そして、15回分の整備記録スタンプが押されたオリジナルの記録簿や取り扱い説明書一式に加えて、限定車であるビアンカのために製作された希少なセールスリーフレットも販売に際して添付されるとのことであった。

アイコニック オークショネアは公式カタログ内で「この丁寧にレストアされた小さなフィアットへの入札は、イタリアで愛され続けるシティカーの、美しく整備された1台を手に入れる稀有な機会となる」と熱心に入札を誘うかたわら、今回の出品にあたって8000英ポンド(約170万円)~1万英ポンド(約213万円)という、このところ高騰状態にあるフィアット パンダの相場価格を反映したエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

ところが迎えたオークション当日、英国最大の見本市会場であるバーミンガムNECの一角で行われた競売では、エスティメート下限を大幅に下回る6525英ポンドで落札された。現在のレートで日本円に換算すれば約139万円という、レストア済みのパンダとしてはかなりリーズナブルな価格で、壇上の競売人のハンマーが鳴らされることになったのだ。

近年の国際クラシックカー市場、あるいは日本国内の旧車市場においても「レストア済み」とうたったフィアット パンダが時おり出てくるようだが、いずれも200万円以上の価格設定がなされている。それを念頭に入れれば、今回の落札価格は売り手側にとってはいささか不本意だったかもしれない。その一方で買い手側にとっては、なかなか良い買い物ができたということになるのだろう。

※為替レートは1英ポンド=213円(2026年5月19日時点)で換算

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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