自分の好きを素直に形にした「シンプルでかっこいい」スタイル
2026年5月16日から17日に愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)で開催された「オートメッセ in 愛知」。数多くのカスタムカーが並ぶ会場のなかで多くの来場者の視線を集めていた、オレンジのトヨタ「GR86」をご紹介します。オーナーである“るんちゃん”さんが、自分の「好き」を積み重ねて「シンプルでかっこよく」を追求したこだわりの1台に迫ります。
先代モデルから乗り継いだトヨタ GR86とSPEC!製エアロとの出会い
会場のなかでもひときわ目を引いていたのが、GR86/BRZ系のカスタムで高い人気を誇る愛知県岡崎市のショップ「SPEC!(スペック)」のブースに展示されていたオレンジのトヨタ GR86だ。
オーナーである“るんちゃん”さんは、現在の愛車以前にも先代のトヨタ「86」を所有していた。
「もともと、先代型の後期モデルである86に乗っていたんです。そのまま好きで、新型に乗り換えた感じですね」
86を選んだ理由は非常にシンプルだ。
「見た目がかっこよかったので、ほかのクルマはあんまり目に入らなかったです。当時は86がいちばんかっこいいなと思っていました」
現在のトヨタ GR86は中古車として購入し、所有歴は約1年半になるという。購入時点では完全にノーマルの状態だった。存在感を放つオレンジのボディカラーは限定の純正色だが、最初から狙っていたわけではないそうだ。

「たまたま近所のクルマ屋さんに置いてあって。どうしてもオレンジが欲しかったというより、自分の予算に合えばよいかなって感じでした」
先代86時代は学生だったこともあり、ホイールやマフラーなどのライトなカスタムに留まっていた。しかし現在の愛車は、外装から内装までトータルで作り込まれている。そのスタイルの中心となっているのが、SPEC!製のオリジナルエアロだ。
「SPEC!さんのエアロが好きだったんです。そんなとき、ちょうどイベントのキャンペーンをやっていて、それをきっかけに思い切って買いました。そこからどんどん変えていきました」
“るんちゃん”さん自身が目指しているのは、やりすぎ感のないスタイルだ。
「ごちゃごちゃしていなくて、シンプルでかっこいい感じが好きなんです」
その言葉どおり、大胆なバンパー交換をおこないながらも、全体のラインを崩さず自然にまとまっている。
スーパーGT風のヘッドライトと暖色系ホイールでまとめた足回り
フロント回りでエアロと並んで強いインパクトを放っていたのが、アルファレックス製のヘッドライトだ。
「スーパーGTみたいでかっこいいなって。6眼の感じがGTカー(高性能なレーシングカー)っぽいんです」
見た目だけでなく、「めちゃめちゃ明るいです」と語るように実用性も高いという。さらにヘッドライトのスモーク感に合わせ、サイドマーカーもクリア仕様からダークスモーク仕様へ変更している。こうした細かな色味の統一が完成度を高めている。
足元には、ホイールブランドであるAMEの「TRACER TM02」を装着している。サイズは18インチの9.5J(ホイールの幅を示す単位)、インセット38(ホイールの中心線からのオフセット量)だ。
「お店がAMEさんとつながりがあって、履いてみませんかってお話をいただいたんです。その後、実際に見たときにかっこいいなと思って選びました」
とくにお気に入りなのが、ハイパーゴールドというカラーだ。

「暖色系のカラーが好きなんです。以前履いていたホイールもブロンズ系だったので、今回も暖色系カラーを継承しました」
オレンジのボディとハイパーゴールドの組み合わせによって、スポーツ感だけではないセンスの高さを醸し出している。足回りには、BLITZ(ブリッツ)製の車高調(車高調整式サスペンション)である「ZZ-R」を装着。
「前愛車の86のときもBLITZだったので、使い慣れているというか、信頼感があります」
ただし現状で完成というわけではなく今後の展望を語ってくれた。
「もうちょっと車高を下げたいですね。もしかしたらエアサス(空気の圧力で車高を調整するサスペンション)を入れるかもしれないです」
昔のスポーツカーらしさを表現した砲弾マフラーとこだわりのリアビュー
リア回りにも細かなこだわりが詰め込まれている。テールランプはAVEST製を採用した。
「ファイバー(線状に光るLED)の感じが先代の86っぽくて、それが好きなんです」
リアウイング、マフラー、リアバンパーもSPEC!製で統一している。とくにお気に入りなのが、リアバンパー左右に設けられた逆三角形形状の縦長ダクトだという。さらに、リアウイング下部のブラック部分はボディと同色へ塗装し、リアエンブレムもスムージング加工(凹凸をなくして平滑にする加工)を施すことで全体をスッキリとまとめている。
「フロントバンパーがエンブレムレスなので、それに合わせて後ろもスッキリさせたかったんです」
そしてマフラーは、あえて砲弾タイプ(筒状のスポーティな形状)を選択した。

「昔のチューニングカーって砲弾マフラーが付いていることが多かったじゃないですか。その雰囲気を出したかったんです」
さらにリアバンパー下部には、純正バンパー用のフラップを加工して装着し、「もう少しボリューム感が欲しい」という感覚を具現化している。
ティファニーブルーで統一されたインテリアと自分らしさを貫くスタイル
外装と同じように、内装にも“るんちゃん”さんのこだわりが色濃く反映されている。インテリアは、愛知県江南市のGIKOが展開する国産スポーツカー向けブランド「異常倶楽部」によるセミオーダー仕様だ。現在はデモカーとしても活用されているという。
変更箇所は、ピラーメーターフード(フロントガラス脇の柱にメーターを設置するカバー)、ダッシュガーニッシュ(ダッシュボード周りの装飾パネル)、ドア3点にくわえ、サイドブレーキやシフトレバーのブーツ(カバー)など多岐にわたる。さらに、GHOSTEXPOD製のシフトノブ、ステアリング、ステアリングフックも組み合わせられている。
テーマカラーはティファニーブルーとブラックだ。
「もともとティファニーブルーで揃えていたんです。スエード素材にしたのはSPEC!さんのおすすめでした」
完成直後は、純正内装とのギャップに戸惑いもあったという。
「最初は違和感がありました。でも見慣れてきて、今はめちゃめちゃ気に入っています」
現在は純正シートに残るオレンジ部分をどう仕上げるか検討中で、「そこだけ変えるか、シートごと張り替えるかですね」と語る。
オフ会やミーティングには積極的に参加するものの、サーキット走行はあまりおこなわない。そんななかで、女性オーナーとは思わなかったと声をかけられることも多いという。しかし本人は、そこに特別な意識は持っていない。

「男性に負けたくなくて作ったとかじゃなくて、本当に自分がクルマ好きで、やりたいことをやったらこうなった感じです」
エンジンは完全なノーマル状態であり、速さではなく街乗りでのスタイルや世界観を重視した仕様だ。暖色系で統一したホイール、スーパーGTをイメージしたフロントフェイス、そしてティファニーブルーで仕上げたインテリア。一見すると異なる方向性にも見えるカスタムだが、その根底には「自分が好きなものを素直に形にする」という、“るんちゃん”さんの一貫したスタイルがある。
派手さを追い求めるのではなく、統一感とバランスを重視したスタイル。そして、シンプルにかっこよく。その美学こそ、このトヨタ GR86最大の魅力なのかもしれない。












































