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生産100台未満メルセデス・ベンツ「560SEL AMG 6.0-4V」の何もかも極上フルオリジナル正規モデルが現存した!

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TEXT: only Mercedes編集部  PHOTO: only Mercedes編集部  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

AMGがまだ独立チューナーだった時代の最高傑作、通称「ハンマー」とはどんなモデルだったのか?

AMGがまだベンツ・ブランドの一翼を担う以前の「独立したチューナー」だった時代に生まれたのが、メルセデス・ベンツ「560SEL AMG 6.0-4V」である。通称「ハンマー」と呼ばれる、DOHC化された4バルブヘッドを組み込まれたV8エンジンを搭載するこの車両の総生産台数は100台に満たないといわれている。今回取材したこの「伝説のモンスターセダン」は、いまもなお内外装をほぼフルオリジナルで保つ極上の一台だ。1989年4月から正規カタログモデルとして存在したこの「ハンマー」だが、今回紹介する希少なノーティカルブルーをまとった現存個体のディティールを紹介したい。

通称「ハンマー」の心臓部は、OHC5.6L V8をDOHC48バルブの6.0L化したAMG渾身のエンジン

560SEL AMG 6.0-4Vは、ベース車のW126型560SELに、当時まだ独立したチューナーだったAMGが自社の技術を注ぎ込んで仕立てたモンスターセダンである。心臓部は、ベースの5.6L V8をAMGの手で6.0Lへとボアアップ(シリンダー内径を広げて排気量を増やすこと)。さらに純正の1カム2バルブヘッドを、AMGオリジナルの4バルブヘッド(1気筒あたり4つのバルブを備え、DOHC化された専用シリンダーヘッド)へと換装している。この専用ヘッドこそ、通称「ハンマー」と呼ばれるゆえんだ。最高出力はおよそ385psにまで高められたとされ、当時としては突出した性能を誇った。300km/hの壁を超えた最初期の4ドアセダンの一台でもある。ちなみに、巨大なDOHC化された4バルブヘッドエンジンを収めるため、バッテリーはトランクへと移設されている。

なぜ希少なのか? 生産100台未満、AMGジャパン正規物の「掘り出し物」

希少性の理由は、その生産台数の少なさにある。AMGが1台ずつ受注で仕立てていた時代の個体であり、6.0-4V仕様は生産100台に満たないといわれる。多くが海外へ流れたとされ、国内に正規で入った例はさらに限られる。今回取材したのは、AMGジャパン(ヤナセ時代のAMG日本公式インポーター)が手がけた履歴のはっきりしたAMGモデルだ。いわば極上の正規ルートで届けられた素性のよさが、およそ40年を経たいまの価値を支えている。ちなみに、エンジンルーム前方のプレートには、ボディカラーやインテリアカラーの番号が刻印され、この個体のオリジナル度の高い素性の良さを裏づける手がかりとなっている。

ノーティカルブルー×ダークブルーレザー(262)の極上フルオリジナル

このハンマーを語るうえで外せないのが、希少なカラーリングである。ボディをまとうのは、ノーティカルブルーという珍しい色。加えて内装は、ダークブルーレザー(色番号262)の組み合わせで、これがさらに希少とされる。室内はこの262番での専用張り替えが施され、専用のウッドトリムと合わさってシックな装いをまとう。約40年前のクルマとは思えない極上のコンディションを保っているのも見どころだ。前オーナーが大切に乗り継いできた個体だけに、オリジナルの大きなスリーポインテッドスターが刺繍されているフロアマットなども残されている。ちなみに、ステアリングや300km/hスピードメーター、本革とウッドトリムをあしらった運転席まわりまで、AMGならではの装備がふんだんに盛り込まれている。

憧れの300km/h AMGホワイトメーターに3ピースホイールまで残る、後世に残したい一台

結論からいえば、この個体は何があっても後世に残したい一台である。AMGオリジナルのボディパーツや専用ステアリング、300km/hメーターまで、いずれも手を加えないストックのままの状態だ。正規ものでフルオリジナル状態(新車時の状態をそのまま保つこと)であることが、この個体の何よりの価値となっている。

フロント・サイド・リアの各AMGエアロパーツに3ピースホイール、AMG専用装備を備えながら、セダンとしての端正なスタイリングは崩していない。リアトランク左側には、AMGエンブレムが誇らしげにおごられる。約40年という時間を生き抜き、なお強烈なパフォーマンスを秘めたまま現存する。

ちなみに当時のメルセデスベンツジャパンの正規560SELの販売価格が1350万円だったのに対して、1989年当時のAMG 560SEL 6.0-4Vの新車価格は、なんと2455万円(クーペ版の560SEC 6.0-4Vは2,585万円)とノーマルよりさらに1000万円以上高額だったことを付記しておきたい。

1991年以降に正式にベンツの子会社化されてからのAMGは、ベンツ純正のエンジンをベースに「マイルドで優等生な仕様」へチューニングする方向にシフトしていくため、この1980年代後半の560SEL 6.0-4Vは、「牙を剥いた荒々しい独立チューナー時代の最高傑作」として今でも世界中のコレクターから聖杯のように扱われているという意味も十二分に理解できる。

AMGが独立チューナーだった時代の凄みを、いまに伝える貴重な証人である。

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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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