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カサカサボディの正体は快速クルーザー!エンジンスワップで化けたフォード「F-100」

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TEXT: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  PHOTO: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)

エンジンと足まわりを現代の部品へ入れ替え、快適に走れる仕様へ仕立てた1960年式フォード「F-100」

働く自動車を主役に据えたイベント”TVW”の会場で、塗装が剥がれたカサカサのピックアップを見つけた。一見すると朽ちかけた古いピックアップトラックである。実はサビひとつない極上のボディに、現代のエンジンと足まわりを組み込んだ快適仕様だった。その秘密をオーナーに取材した。

イベント会場で見つけた”カサカサボディ”の正体は1960年式フォード「F-100」だった

会場で目を引いたのは、塗装が剥がれた1台の古いアメリカ車のピックアップである。リアゲートのロゴから、フォードのトラックだとわかる。所々に残った塗装から、ボディは元々ブルーグレーだったと思われる。塗装は剥がれているものの、状態は良い。よく見るとサビもほとんど発生していない。車高はかなり下げられており、マフラーがボディ側面の穴から飛び出している。

オーナーの“やっさん”に話を聞いた。この車のほかにも1957年式のシボレー「ベルエア」や1947年式のフォード「パネルトラック」を所有するベテランだった。

「このクルマは1960年式のF-100ピックアップで、今から10年ほど前にアメリカから輸入した車両です。エンジンとトランスミッションはGM系の350ciと3速オートマに載せ替えてあります。手元に来てから足まわりはすべてリニューアルしてあり、実は快適に走ります」

ちなみに、フォード「F-100」の名は積載量の区分を示す。半トン積みの最もベーシックなモデルにあたる。

第3世代の最終型であり富めるアメリカを象徴する商用トラック

フォードのF-100が属するFシリーズは、1948年に登場して以来、幾度ものモデルチェンジを経て現在に至っている。“やっさん”が所有する1960年式は、1957年に登場した第3世代の最終型にあたる。Fの後ろの数字は積載量を表し、数字が大きいほどヘビーデューティ仕様となる。足まわりやエンジンが強化され、積載量も増えていく。F-100は最もベーシックなモデルで、農場などで個人が所有するケースが多かった。

第3世代は、キャブとフロントフェンダーを一体化した角張ったスタイルが特徴である。ボンネットが車体の全幅まで広がるクラムシェル形状を採用した点も新しい。1958年からは丸型ヘッドライトを4灯式に変更し、第3世代は唯一の4灯モデルとなった。

ちなみに、1950年代から1960年代のアメリカ車が毎年のようにモデルチェンジを行なっていたことは、富めるアメリカを象徴するエピソードとしてよく知られている。これは商用車であるFシリーズも同様で、フロントグリルの形状から年式をピンポイントで特定できる。1960年式は新しいグリル構造とボンネットを採用した最終年型である。

エンジンはシボレーの350ci V8、足まわりはコイルオーバーへ。だから見た目以上にしっかり走る

このF-100が快適に走る理由は、ドライブトレインと足まわりを現代の部品へ入れ替えた点にある。部品調達が難しいこの時代のフォード製ユニットではなく、日本でも部品が手に入りやすく、アフターマーケットパーツも多くリリースされている350ci(約5.7リッター)のシボレー製スモールブロックV8へ載せ替えてある。トランスミッションも、同じくシボレー系のTH350型3速オートマチックに交換されている。TH350は1969年に登場したGMの3速ATで、コンパクトかつ頑丈な構造から、現在も旧車のエンジンスワップで定番のユニットとされている。

足まわりは、より現代的なコイルオーバーサスペンション(ショックアブソーバーとコイルスプリングを一体化した構造の足まわり)に交換されている。そのため、見た目からは想像できないほどしっかりと走る。クーラーが備わっていないため、夏場はあまり乗らないという。それ以外の季節は普段の足として使っているそうだ。

“やっさん”は将来的にエアサスペンションを取り付け、足まわりをさらに進化させたいと語る。塗装を剥がしたままの素っ気ない見た目とは裏腹に、中身は手をかけ続けた現役のクルーザーである。オーナーは古いアメリカ車を眺めて愛でるのではなく、自分の手で走らせ、季節とともに乗り回す道具として向き合っている。完成形を決めず、これからも進化を続けていく。1台の働くトラックと長く付き合っていく姿勢が、このカサカサボディには刻まれている。

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