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走行44万kmオーバーの日産「R32スカイラインGT-R」と四半世紀! チューニングにメンテナンスと編集部と歩んだ軌跡をたどる

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TEXT: GT-R Magazine編集部  PHOTO: 小林 健/GT-R Magazine

【チューニング&メンテナンス】ボディ、エンジン、内装、シャシーすべてリフレッシュ

 057号にニスモで行った内装リフレッシュも大掛かりなものだった。シートの張り替えだけでなく、一度すべてをバラし、新品で入手できるものはすべて交換。製造廃止になっている部品は徹底して洗浄し、編集部のもとへ戻ってきたときには大袈裟ではなく新車の香りを漂わせていた。24万6000kmで搭載したオートギャラリー横浜の690Rミッションは一度オーバーホールを敢行しており、現在でも絶好調である。

 10万kmまでは何の遠慮もなくチューニングに勤しみ、その後は徐々にメンテナンス重視にシフト。そして動態保存の感を強めたのは28万1000km時に行った「完全オーバーホール」である。この作業以前に25万km弱で2度目シャシーリフレッシュを行っており、ボディとエンジンを完全再生させることで、トータルでリセットしたこととなる。ボディは『カナザワ』ですべてをバラしてリフレッシュし、エンジンはS1エンジン2基目を投入。奇しくもR35が誕生した2007年に始まった作業であり、2008年の081号にて完成。生まれ変わったR32VスペII号は、当時の仕様を維持すべく、その後はほぼメンテナンスに終始している。

 唯一チューニングらしいことは32万1000kmでS2エンジンにバージョンアップしたこと。そこから10万km超走った現在まで大きな変更はない。35万kmを超えるとメーター修理であったり各部のオイル漏れなどが発生するも、年式や距離を考えれば想定の範囲内。どんなに激しく走ってもここまで乗り続けられているのは、納車当時からオイル交換など日頃のメンテナンスだけはきっちり行っていたからだと思う。また、保存といってもあくまで動態。つまり走り続けているのが奏功しているように思う。

S2エンジン

【トラブル&対策】定番の経年劣化は経験するも致命傷は負わず

 創刊以来、いわば本誌の「顔」として25年間走り続けてきた。走行44万kmを超えているということもあり、さぞやトラブルも多いだろうと思われるかもしれない。しかし意外なほど大きな厄介事になった記憶がない。

 もちろん、ドライブシャフトブーツの破損であったり、各部のオイル漏れであったりという、経年劣化が引き起こすマイナートラブルはひと通り経験している。だが、それが原因で走れなくなって困ったとか、エンジンがブローしたなどの大きな問題は経験ないのだ。

 2007年にタービンアウトレットのボルトが欠落しており、V8エンジンのような音を出したことがある。すぐさま点検したところ、タービンも音が出ていて末期状態ということで交換となった。そのほかには4WD警告灯が点灯し、アキュームレーターを新品へ。場合によっては作動油の交換時にゴミなどが詰まりアテーサE-TSのシステムがダメになることもあるが無事復活を遂げた。直近では2020年4月にフロントのシャシーリフレッシュを行ったところ、助手席側のハブベアリングが焼き付く寸前だったということもある。気付かなかったら危なかった、ということは多いのだが、大ダメージとなる前にちゃんと発覚しているのだ。

 やはり、運行日誌の取材も兼ねて定期的に各部を確認していることがトラブルを未然に防いでいる理由となるだろう。また、走り続けなければいけないという使命感から、R32VスペII号がギリギリセーフのところで信号を送ってくれているのかもしれない。

【トラブル&対策】40万km超で原因不明トラブルは増える

 ただ、40万km前後くらいから、原因不明のトラブルが増えてきたように思う。さらに、経年劣化はわかっていても、純正品が製造廃止になっていて、打つ手がないという場合も。

 38万kmくらいの頃、バッテリーが1週間程度で上がってしまうという問題に悩まされた。オルタネーターでもなく、配線修理後も変わらない。配線は換えられても端子がないのでそのまま使うため、劇的な変化がなかったのだ。その後ニスモ・ヘリテージパーツが登場したことでハーネス類を一部交換。これで飛躍的にバッテリーの持ちは長くなった。

 ただし暗電流が多いという根本的問題は解決に至っていない。他にも現在気になるのは、タービンもしくはエアフロの不調があるかもしれない、ということ。さらにスピードメーターから異音がするので本当は交換したいが新品がない。フロントガラスに飛び石があるがガラスやモールが高価過ぎて二の足を踏んでいる。ハイキャス周辺にガタがあると言われていたが、こちらは2021年にリヤのシャシーリフレッシュを施し解決。

 エアコンのセンサー不調が現れたり、細かい心配は常にあるが、エンジンはまだまだ大丈夫そうであり、ボディの錆などもほとんど見られない。走りは十分に楽しめているから問題はないと思っている。R32VスペII号の先はまだまだ長い。トラブルも楽しみながら少しずつ改善し、まだまだ付き合っていくつもりだ。

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