カスタムのテーマは「ホットロッド」
通常であればこれで終了してもおかしくないが、この班は最初にも説明した通り、旧車カスタムカー好きが集まっている。そして、その完成車を披露する場は世界的にも有名な東京オートサロンの会場だ。となればカスタムしないわけにはいかない。ある程度の修復を終えたところで、魅せるクルマとしてカスタムを並行して行うことになった。
生徒たちが411ブルーバードにふさわしいカスタムとして選んだテーマは、「アメリカンホットロッド」だった。ホットロッドといえばハイドロで飛び跳ねるようなクルマを連想するが、このクルマは最終的に先生が通勤にも使いたいという要望から、実用性を考えてエアサスを採用することに決めた。
ただ、旧車のサスペンションは構造上、低くするのが困難なので、フロントはショックのマウント位置そのものを変更することで対応。また、リアについてはリーフスプリングのままでは車高を下げることができないので、フロアごと切断し、ホーシングが干渉しないようにフレームそのものに手を加えるCノッチ加工を施す大胆な改造を施している。
また、アームについては「ジムニーシエラ」の5リンクキットを使って構成。ただ、そのまま5リンクだけだとホーシングのブレが大きくなりすぎるてので、それを抑え込むためにワットリンクも採用している。
このように、ホットロッドのように極限まで下げる工夫は奥が深い。そして、その答えを見事に導き出し、作ってしまう生徒たちの技術レベルの高さにも驚かされる。
ルーフやトランクに入れたグラフィックは、シルバーとブルーの濃淡のみで表現。フレークも混ぜて、より輝きを放つように仕上げた。また、ローライダーペイントの3Dパターン+ラップペイント技法が取り入れられている。
内装についてはボディのグラフィックに合わせてシートカバーを製作。ダッシュボードは傷んだ箇所にパテを入れて修復し、ツルツルにならして綺麗にしてからボディ同色の塗料で仕上げた。
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411ブルーバードは今から50年以上前のクルマである。ボディデザインを手がけたのは、あの有名デザイナーであるピニンファリーナだ。そんな名車を見事なカスタムカーとして蘇らせた生徒たちのレストア技術とカスタムに賭ける熱量がハンパない1台であった。年々レベルアップしているNATSの生徒たちが来年、どんなカスタムカーを披露してくれるのか今から楽しみである。